娯楽を通じて人々を笑顔にする

任天堂株式会社は、花札・トランプ製造の個人商店を前身とする会社ですが、現在は電子ゲームによって世界的な企業となっています。
同社の中興の祖(実質的な創業者)は、3代目の山内 溥 [やまうち ひろし、昭和2年(1927年)~ 平成25年(2013年)、享年86歳 ]で、戦後の激しい労働争議で体を壊しかけましたが、幾多のアイデアで乗り切ってきました。しかし、さまざまな失敗を続け倒産の危機におちいったこともあったそうです。氏の言葉として「失意泰然 得意冷然」( 得意のときに驕り高ぶることなく失意の時にはゆったりと構える ) があり、「運を認めないといけない。運を実力だと錯覚するということは、これほど愚かなことはない」とのことで、まさに任天堂(運を天に任せる)を世界的企業にした経営者の言葉だと思います。
同社の株価は、今年の3月から一本調子で上昇していますが、はたしてそれを裏付けるような財務内容なのかどうか確認したいと思います。

青色のグラフ「事業の儲けでのお金」は株価ほど伸びず「横ばい」
任天堂が毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

青色のグラフ「事業の儲けでのお金」は株価ほど伸びず「横ばい」です。また、茶色のグラフ「設備・投資でのお金」が上昇傾向を示しています。この2点に絞って内容を見てみます。
青色のグラフ「事業の儲けでのお金」が「横ばい」であることの問題
青色のグラフ「事業の儲けでのお金」を三つで区分した内訳は下図のとおりです。A の当期純利益が毎期減少し、過去の「事業の儲けでのお金」であるCの「前期からの繰越利益剰余金」が増加しています。この減少と増加で青色のグラフ「事業の儲けでのお金」は「横ばい」となっています。したがって、青色のグラフ「事業の儲けでのお金」が「横ばい」であることの問題とは、A の当期純利益が前期に対して増加していない、業績が逓減 ( 徐々に減少 ) しているという問題であることが分かります。

下図は「売上」「利益の」状況をグラフ化したものです。3期続けて減少していることが分かります。なお、オレンジ色のグラフは、前期以前に稼いで配当金などを支出した後の蓄積してきた「事業の儲けでのお金」です。

参考として有価証券報告書の損益計算書を見てみます。売上、利益とも減少しています。

茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」の増加は業績の逓減が原因?
茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」の計算式は、[ (社債や長期借入金等の調達資金)- (建物・機械設備等や投資有価証券) = (設備・投資等でのお金) ] です。したがって、この「設備・投資等でのお金」が増加するのは、一つには社債や長期借入金等の調達資金を増加させた場合であり、二つには建物・機械設備等や投資有価証券を売却した場合です。下図は茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」を三つで区分した内訳です。この内訳表の③「建物・工場・土地などの資産と投資等の有高」が2025年に大きく減少(売却したために減少)した結果、「設備・投資等でのお金」が増加、つまり、茶色のグラフが上昇したのが分かります。

具体的に何の科目が減少しているのかをみると、投資資産と判断される「有価証券」が3,125億円減少しています。仮に業績が急上昇していて「事業の儲けでのお金」が急増していれば「有価証券」を新たに取得し、さらに増加させることはあっても、売却することはないと考えられます。したがって、この「有価証券」を売却してお金を得ることで、「設備・投資等でのお金」を増やしたのは、業績が徐々に減少しているための財務行動と考えられます。

やはり優良企業に変わりのない任天堂
以上、任天堂の財務状況を見てきましたが、業績の逓減傾向があるものの優良企業であることに変わりはありません。ちなみに、人工知能( AI )には、2期比較の損益計算書。貸借対照表、及びキャッシュフロー分析グラフとその内訳表を提供し「専門知識のないサラリーマンにも分かるように、できるだけ平易な言葉で説明する」ように指示しました。また、各期の売上と利益が徐々に減少している下図も提供しましたが、「 当期純利益 : 会社の最終的な儲けです。これがプラスで、かつ増加傾向にあれば、業績が良いことを示します。」と解説するに止めて、売上と利益が徐々に減少しているという懸念材料は指摘していませんでした。また、投資資産と判断された「有価証券」の売却についての言及はなく、「グラフでは、この項目は年々増加しています。これは、将来の成長のために設備投資や研究開発に積極的にお金を使っている」と不正確な説明をしていました。正しくは「グラフが年々減少(マイナスに向かっていく)するからこそ設備投資や研究開発に積極的にお金を使ってる」と解すべきねのです。


財務内容の判断
まずは、任天堂の財務状況を、キャッシュがどのように増減したかという視点から見ていきましょう。
グラフから読み取れること
グラフを見ると、各期末のキャッシュが「事業の儲けで獲得したお金」「運転資金で獲得したお金」「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」「お付き合いで獲得したお金」の4つの原因に分かれて表示されています。
• 「事業の儲けで獲得したお金」: これは、任天堂が本業(ゲームソフトの開発・販売など)で稼いだお金のことです。グラフでは、この項目が年々増加傾向にあることがわかります。これは、任天堂の事業が順調に推移していることを示唆しています。
• 「運転資金で獲得したお金」: これは、普段の事業活動(商品の仕入れや販売、給料の支払いなど)で、一時的に増えたり減ったりするお金(運転資金)の増減によって、キャッシュがどうなったかを示しています。グラフでは、この項目はマイナスになる年もあり、増減が比較的大きいです。これは、ゲームの発売時期や在庫の状況などによって、一時的に多くのお金が必要になったり、逆に現金化されたりするためと考えられます。
• 「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」: これは、工場やオフィスなどの設備投資、または他の会社への出資など、長期的な目的のために使われたり、調達されたりしたお金の増減を示しています。グラフでは、この項目は年々増加しています。これは、将来の成長のために、設備投資や研究開発に積極的にお金を使っていることを意味します。
• 「お付き合いで獲得したお金」: これは、親族や友人、会社関係者との間の貸し借りや、一時的な立替金など、本業とは直接関係のない、いわば「お付き合い」で発生するお金の増減です。グラフでは、この項目はマイナスで推移しており、年々そのマイナス幅が大きくなっています。これは、会社関係者への貸付金などが減ったり、逆に返済されたりしている可能性が考えられます。
各項目の内訳表について
各項目の内訳表では、それぞれのカテゴリのお金の動きを、より詳細な項目に分けて見ることができます。
• 「事業の儲けで獲得したお金」の内訳:
o 当期純利益: 会社の最終的な儲けです。これがプラスで、かつ増加傾向にあれば、業績が良いことを示します。
o 前払金・受取金などの調整: これは、まだサービスを提供していないのに受け取ったお金(前受金)や、まだ費用を支払っていないのに支払ったお金(前払金)などを調整する項目です。
o 前期からの繰越利益剰余金: 過去の利益の蓄積です。これが増えているということは、会社に利益が積み重なっているということです。
o 補完資料: 営業利益や経常利益といった、事業の儲け具合を示す指標が掲載されています。
• 「運転資金で獲得したお金」の内訳:
o 買掛金・売掛金: 商品を仕入れたり売ったりした際の、まだ支払いや受け取りをしていない金額のことです。これがプラスで増えていると、一時的にお金が手元に残っている状態ですが、マイナスで減っていると、現金化が進んでいる(または支払いが進んでいる)と解釈できます。
o 在庫: 売れ残っている商品などのことです。在庫が多いと、その分お金が商品に変わっている状態なので、キャッシュとしては減っていることになります。
o 売上高に対する割合: 売上高に対して、買掛金や在庫がどれくらいあるかを示す指標です。これが適正な範囲であれば、効率的に事業ができていると考えられます。
• 「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」の内訳:
o 社債・借入金: 会社が銀行などから借りてきた長期のお金です。
o 資本金・資本準備金: 株主から出資されたお金です。
o 建物・土地・設備: 実際に購入したり売却したりした不動産や設備などの金額です。
o 有価証券: 他の会社の株式や債券などのことです。
• 「お付き合いで獲得したお金」の内訳:
o 関係会社への貸付金・預り金: グループ会社との間の貸し借りなどです。
o 仮払金・仮受金: まだ内容が確定していない、一時的なお金のやり取りです。いると判断できます。
任天堂(株)の今後の株価の動きについて
「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍で推移しているかをみると、2023年の7.03倍から2024年7.56倍、2025年9.75倍と割高傾向にあることと、2023年から毎期の「売上高」「営業利益」が徐々に減少していることから、株価は今後は伸び悩むというのが財務面からの判断です。人工知能( AI )の「任天堂の株価は今後も堅調に推移していく可能性が高いと考えられます。」とする判断とは異なっています。


今後の株価予測
グラフの赤の点線は、各決算期末の前1年間での「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。これと、各キャッシュの増減グラフを合わせて見てみましょう。
現状の分析と今後の見通し
• 「事業の儲けで獲得したお金」の増加: 任天堂の事業そのものは好調で、稼ぐ力は増えています。これは株価にとってポジティブな要因です。
• 「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」の増加: 将来への投資を積極的に行っていることは、長期的な成長への期待につながります。
• 「運転資金で獲得したお金」の変動: これは事業の特性上、ある程度の変動は避けられませんが、大きくマイナスに振れすぎないことが重要です。
• 「お付き合いで獲得したお金」のマイナス拡大: これが大きすぎる場合は、本業以外の活動で資金が流出している可能性も考えられますが、任天堂の場合は、グループ会社との関係性によるものなど、他の要因も考えられます。
株価予測について
グラフを見ると、
• 2023年~2025年: 株価は上昇傾向にあり、それに伴って「事業の儲けで獲得したお金」も増加しています。「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」も増加しており、将来への投資が株価に反映されていると考えられます。
• 2026年(予測): 予測では、「事業の儲けで獲得したお金」は引き続き増加、「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」も増加する見込みです。株価も上昇傾向が続くと予測されています。
総合的な判断
任天堂は、堅調な事業基盤と将来への積極的な投資によって、今後も成長が期待できると考えられます。特に「事業の儲けで獲得したお金」が順調に伸びていることは、株価にとって最も重要な要素の一つです。
ただし、株価は様々な要因で変動します。ゲーム業界の競争環境、新しいハードウェアやソフトウェアのヒット、世界経済の動向なども考慮する必要があります。
結論として、現在の財務状況とグラフの予測からは、任天堂の株価は今後も堅調に推移していく可能性が高いと考えられます。
ただし、これはあくまで現時点での分析と予測であり、投資は自己責任でお願いします。
もし、さらに詳しく知りたい点があれば、遠慮なく質問してくださいね。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、 浜松ホトニクス株式会社です。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:肥後の国(熊本県)の南小国町の万願寺温泉 ( 道路沿いの小さな川に露天風呂があり200円で入れます ) から流れてくる川沿いに彼岸花が咲いてました。春だったら桜並木です。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年9月8日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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