すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

ニデック(株)は精密小型モーターの開発・製造において世界一のシェアを維持・継続している企業ですが、不適切な会計処理の疑いが浮上し、2025年3月決算報告書は通常6月下旬に公開されるところ、3ケ月遅れの9月26日に公開されたという極めて異例の事態となりました。
株価は下図のとおり2025年3月決算前一年間の平均値3,257円に対し、8ケ月後の11月の平均値は2,085円と大幅に下落しています。不適切会計の疑いが浮上したためと思われますが、その2025年3月決算内容は、いったいどのようなものであったでしょうか。

「運転資金のお金」が「事業の儲けのお金」より多い!
ニデックが毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

このグラフには二つの特徴があります。一つ目は青色のグラフ「事業の儲けでのお金」がまったく伸びていないこと、二つ目は緑色のグラフ「運転資金でのお金」が最上位に位置し、青の「事業の儲けでのお金」より上位にあることです。
キャッシュフローの動きから知れる財務内容の苦境
緑色のグラフ「運転資金でのお金」が最上位に位置し、青の「事業の儲けでのお金」より上位にあるということは、サラリーマンの例でいえば、日々の生活資金(運転資金)が足りないので短期の借入をしたが、その借入した金額が必要以上に多額で、給料(事業の儲けでのお金)よりも多かったということと同じです。ただし、冷徹な財務戦略をすべき上場企業が、日々の生活資金(運転資金)に必要な資金以上の借入をするということは異常なことと思われます。
企業での運転資金の動きとは、日々の営業活動のなかで、例えば買掛金や未払金などの支払資金が足りなくなったため一時的に短期の借入をする動きです。もちろん売上がどんどん伸びて儲かっておれば、買掛金や未払金などの支払資金が足りなくなることはなく、短期借入金も発生しません。下図は「運転資金でのお金」を3区分した表ですが、買掛金などの支払うべき金額から売掛金などの入金予定の金額を差し引いた金額は「-339」、つまり、資金不足のマイナスの約3億円に対して「短期借入金」は前年より1,756億円増価した7,815億円となっていいます。したがって、この短期借入金は単に約3億円足りない運転資金を補充するするためのものでないことが分かります。

財務的に無理な投資活動が、不適切な会計が発生した原因
下図は有価証券報告書の貸借対照表の「投資その他の資産」です。2025年は前年により「関係会社株式」と「関係会社出資金」を併せて約930億円増加させています。つまり、子会社などの関係会社を通じての投資活動していることが分かります。

また、有価証券報告書の貸借対照表の「負債の部」をみると、社債(1年以内償還分含む:朱色枠)の償還で約1,305億円を支出しています。したがって、ニデックは関係会社への投資する約930億円と併せて約2,235億円の資金を必要としていました。したがって、その支出のため「短期借入金」約1,756億円(緑色枠)と「長期借入金」600億円(黒色枠)の合計2,356億円を調達したと判断されます。


緑色が上昇、茶色が下降のグラフを説明すれば上図のようになりますが、財務が良好な企業は、緑色が上昇することはありません。必ず青色の「事業の儲けでのお金」が上昇し、その儲けのお金をもって投資活動を活発化させ、茶色の「設備・投資等でのお金」のグラフは下降します。
したがって、青が低迷し、緑が上昇し、茶色が下降するというニデック(株)の財務状況は、「短期借入金」に基づく無理な財政支出による投資活動の現れでありることから、この投資活動の失敗を成功と糊塗するために不適切な会計を発生させたと判断されます。
今後は関係会社を通じた投資活動の成否に注目
以上のようにニデックは、関係会社株式、関係会社出資金の取得を通じての投資活動をしていますので、今後この関係会社への貸付金や借入金の動向に注目すべきです。なお、これら関係会社との取引については紫色の「お付き合いでのお金」の動きでも判断することができます。なお2025年3月決算では下図のように顕著な動きはありませんでしたが、今後の変化に注意したいと思います。。

ニデック株式会社の今後の株価の動きについて
以上ニデック(株)の財務状況は課題と問題点が認識されますが、「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍で推移しているかをみると、31.76倍 ➡16.85倍 ➡ 15.47倍と徐々に低くなってはいますが、まだ極めて割高と判断されます。

人工知能(AI)の分析については、様々な上場企業を対象にしてきましたが、まだまだだなぁ、つまり「財務の専門知識をもった優秀な新入社員の『ありきたり』の回答に過ぎず、深堀できてないなあ」との思いが否めません。したがって、人工知能(AI)に分析させる質問の仕方や資料提供について検討していますので、しばらくの間は割愛しております。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週の追加した企業は、 東京製綱株式会社です。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:筑前の国(福岡県)の戦前・戦後にかけて炭鉱で栄えた筑豊の遠賀川水系です。かってこの川を石炭を積んだ「かわひらたぶね」が行き来し、この舟に乗っていた男衆を「川筋者」(荒くれ者だが、やくざと違い理屈を言わない潔い性格)と言ったそうです。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年12月8日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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