売り手よし、買い手よし、世間よし

伊藤忠商事は、 伊藤 忠兵衛 [ いとう ちゅうべえ、天保13年(1842年)~ 明治36年(1903年)、滋賀県(近江国)生まれ ] が、明治5年(1872年)に大阪で「紅忠(べんちゅう)」と称して、麻布類・尾濃織物・関東織物を取り扱ったのが始まりで、この2つが合併・分割を繰り返して現在の伊藤忠・丸紅につながっているそうです。(Wikipediaより)
「紅忠」は明治17年(1884年)に丸紅伊藤本店に改称しましたが、伝統的な近江商法に拠り「商売は菩薩の業」と説いて多数の人材を育て、 店の純利益を本家納め・本店積立金・店員配当に分かつという「利益三分主義」をとったとのことです。
同社の株価は、下図のとおり2026年3月決算の1ケ月後の4月まで上昇していましたが、その4月以降では低迷しています。したがって、直近の財務体がどのようなものか見てみます。

極めて良好な財務体質を示すグラフの動き
伊藤忠商事が毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金(青色のグラフ)」、②「運転資金で獲得したお金(緑色のグラフ)」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金(茶色のグラフ)」、④「お付き合いで獲得したお金(紫色のグラフ)」で区分し分析したグラフは下記のとおりでした。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

このグラフは極めて良好な財務体質を示しています。つまり、青色のグラフである「事業の儲けでのお金」(・・① )がプラスの上位に位置し、順調な伸びを示し、茶色のグラフである「設備・投資でのお金」(・・③ )がマイナスで下降しています。また、緑色のグラフ「運転資金でのお金」(・・② )や紫色のグラフ「お付き合いでのお金」(・・④ )がほぼ変化なく推移しています。このグラフ①と③の意味するところを分析してみます。
利益をシッカリと確保、過去の「事業の儲けでのお金」も積み上げる
下図は「事業での儲けのお金」をその構成要素ごとに区分して表示した棒グラフです。「当期純利益」は、キャッシュが出ているのに費用に計上されていない「前払費用」や、キャッシュは出ていないのに費用として計上されている「賞与引当金」などで計算 されていますが、これらキャッシュの入出金を考慮してキャッシュフローでみた当期純利益は、減少・増加の変化はあるもののシッカリと確保しています。(・・A ) また、過去の「事業で獲得した儲けのお金」(・・B ) は、利益を株主への配当金として支出した金額の残りですが、これも当期の利益と同様にシッカリと積み増しされています。したがって、この「事業の儲けでのお金」を棒グラフ (・・C )で示した動きが、冒頭の折れ線グラフ①では、プラスの上位に位置し、順調な伸びを示す動きとなっています。

なお、2024年3月の三期前から2026年3月決算期までの具体的な「当期純利益」は下図のとおりです。シッカリと利益を確保していることが分かります。

潤沢な「事業の儲けでのお金」を背景に活発な投資戦略
下図は「設備・投資等でのお金」をその構成要素ごとに区分して表示した棒グラフです。三期続けて「投資その他の資産」の増加 (・・A ) が著しく、投資を活発に行い、今後の成長戦略のための投資を行っていることが分かります。また、その投資に対応する長期の資金調達も、潤沢な「事業の儲けでのお金」を背景に、多少の増加をさせていますが多額の調達をしてはいません。(・・B )

なお、「資本金」や「資本準備金」さらには「別途積立金」などの金額が減少しています。(・・C) これら「資本金」などは、過去に株主から出資してもらった現預金であり、この現預金で取得された土地・建物などの設備・投資等に対応するものです。そしてこれらが減少するということは、「減資」すなわち株主にお金を返す行為にほかなりません。つまり、下記の有価証券報告書の純資産 ( 会社の保有するすべての資産からすべての負債を差し引いた金額) の朱枠で表示されているように、株式を発行している会社自体が自分の株式を買い取るという「自己株式」の取得 が増加しているためです。

投資活動の具体的内容について
投資活動の具体的内容については、有価証券報告書の貸借対照表 ( 決算日に会社が保有するすべての資産とすべての負債、そしてその差額としての資本金や資本準備金と繰越利益剰余金などの在高を開示した財務諸表 ) で、その内容を知ることが出来ます。下図の「投資その他の資産」で特徴的なのが「関係会社株式」の増加です。すなわち、子会社などの関係会社を通じて成長戦略を取っていることが分かります。

伊藤忠商事株式会社 の今後の株価の動きについて
以上のように伊藤忠商事は、順調な業績とともに成長戦略を取っていることが分かります。また「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍かをみると、毎期徐々に高くなっていますが、今年の2026年3月決算期時点ではまだ5.40倍です。したがって、同社の良好な財務内容から見ても株価は上昇していくものと判断します。

人工知能(AI)の分析については、様々な上場企業を対象にしてきましたが、まだまだだなぁ、つまり「財務の専門知識をもった優秀な新入社員の『ありきたり』の回答に過ぎず、深堀できてないなあ」との思いが否めません。したがって、人工知能(AI)に分析させる質問の仕方や資料提供について検討していますので、しばらくの間は割愛しております。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っていますが、今週は(株)三越伊勢丹ホールディングスです。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:筑前の国(福岡県)の大野城市のありきたりの街中にも夏の花が咲いてました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2026年8月17日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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