96億円申告漏れ、東京国税局が指摘

今週は予定を変更してインターネットセキュリティー「ウイルスバスター」で著名なトレンドマイクロ株式会社の財務分析をします。同社は8月29日の新聞報道などによると、東京国税局(国税庁の組織)から、2022年12月(同社の決算期は12月)まで、約96億円の申告漏れを指摘されていました。ではその申告漏れの実態が、有価証券報告書よる財務分析結果にどのように現れているか報告したいと思います。
このトレンドマイクロ(株)は、このブログの「株当てクイズ(No16、2024年3月25日付)」において、2022年12月決算までの分析結果を下図のグラフで提供してました。なお、このたびのグラフは「4つの原因」の縦軸の最低-400を-500に、最高1000を3000に変更しています。数値そのものに変化はありません。

この「株価当てクイズ」は、上記のクラフを見て株価が上がるか、下がるかの判断をするのですが、それに対する私のコメントは下図のとおりでした。

申告漏れの指摘で、2023年12月決算は正しく報告 ?
上述の「事業の儲けでのお金は少し減少していますが、2021年と同じ水準であり・・上昇が予測されます」とのコメントは、1年後の財務予測、つまり、の2023年12月決算を予測した結果です。したがって、その予測の元となる有価証券報告書で開示される数値は死活的に重要です。その数値が真実でないとすれば、財務予測も大きく異なり、いわば仮面をかぶった異性とお付き合いするようなもので、後で「だまされた ! 」との恨みやら、「嘘だったのか ! 」とベソをかくようなものです。
なおこのブログでは、財務というややこしい数値を誰でも一見して理解できるように努めています。すなわち、企業が各期末に保有するキャッシュを、その獲得した4つの手段である「事業の儲けで獲得したお金」「運転資金で獲得したお金」「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフでお見せしています。
そこで、改めて2023年12月決算まで(今年の2024年3月に公開)の有価証券報告書に基づいて分析したのが下図で、前期2022年の分析グラフに比べて、青色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」が大きくアップしています。なお、株価は終値でなく、各々の決算前の1年間の最高株価と最低株価の単純な平均値です。

申告漏れは「事業の儲けのお金」の計算と「株価判断」に大きく影響する
2022年12月決算までは申告漏れのままの数値で、2023年12月決算は申告漏れの指摘を受けて適正な報告になっているようです。改めて「2022年12月決算時のグラフ」と「2023年12月決算時のグラフ」の2つを対比してみると、申告漏れは「事業の儲けで獲得したお金」の計算に極めて大きい影響を与え、ひいては「株価判断」に大きく影響することが分かると思います。

有価証券報告書にみる国税庁の指摘について
金融庁がWeb上で公開している「EDINET」には、この2022年以前3年間の申告漏れに関する「訂正有価証券報告書」はまだ見当たりませんが、2023年12月の有価証券報告書をみると、国税当局が指摘した科目は下図の赤枠のようです。なお、この損益計算書の科目だけではなく貸借対照表にもそれらしい科目が見て取れます。

青色のグラフ「事業の儲けでのお金」の急増と株価の急増について
確かに2023年12月決算の財務状態から、1年後の今年12月決算の予測である青色のグラフの「事業の儲けで獲得したお金」は急増しています。しかし結論からいえば、株価は青色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」に沿って動くと判断しても、もう一つの判断が必要なようです。すなわち、2023年12月の「事業の儲けで獲得したお金」は1,668 で、株価は6,932 で、「株価÷事業の儲けで獲得したお金」は約4.2倍です。そろそろ頭打ちに近づいていると考えるのが、財務面から考える素人の株判断です。ただし、この倍率の判断は業種によって異なるようです。
ちなみに、2023年12月決算以降の株価の動き(8月5日の市場全体の崩落を含む)を見てみますが、専門的な情報もなくチャート分析もできない素人は、このようなグラフに惑わされないで、短期的な売り買いをせずに1年後、2年後を見据えて勝負するのが良いのでは、と思っています。


「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸いです。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、三井金属鉱業(株)と、(株)ニッスイです。
なお、正解しても賞金や景品はありませんので、どうかご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」の写真は、豊後の国 「黒川温泉」から、「田の原温泉」にある「夫婦滝」(映画「男はつらいよ」の撮影があったところ)に一人でテクテク行く途中に咲いていた花です。

次週は、米国の鉄鋼メーカーを買収できるかどうかと話題となっている日本製鉄(株)について報告します。
最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2024年9月2日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎 ]
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