今週の株

👌今週の株👍:日本製鉄(株)

米国鉄鋼メーカー「USスチール」を買収

新聞報道などによると、日本製鉄(株)は、アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収することで同社と合意したとのことです。買収額はおよそ2兆円にのぼる見通しとのことですから、日本製鉄(株)の財務内容が気になります。

日本製鉄は、戦後アメリカ占領軍政策の財閥解体で「八幡製鉄」と「富士製鉄」に分割されていましたが、昭和45年(1970年)に会長 : 永野 重雄、社長 : 稲山 嘉寛で再合併し新たにスタートしました。歴史は流れて、今はその日本製鉄のUSスチールの買収がアメリカ大統領選挙の論争ともなっています。

会長 であった 永野 重雄氏は、大正14年から富士製鋼の支配人兼工場長として、その生涯を製鉄業に捧げてきたのですが、昭和6年には借金返済の催促を受けて、年末に夜逃げするなど苦難の道もあったようです。社長の稲山 嘉寛氏は、お役人から八幡製鉄に勤務となり「気配りの人」だったようです。「取引先の相手には利益を与えなければならない。損をさせればその損がやがて自分に返ってくる」との言葉もあるようです。いずれも現代の経営者に対する尊い教えです。

買収資金は約2兆円、今年3月末時点の「現金・預金」は約2,100億円

まったく単純な発想ですが、私ら経営能力も判断力もない人間は「買収資金は手持ちの現金でまかなう」と考えますが、日本製鉄の手持ち現金・預金をみると約2,100億円でした。

それでは、日本製鉄が今年3月に保有する手持ちの現金・預金の10倍もの買収資金をどのように調達するのでしょうか? ①長期の借入をする。②社債を発行する。③買収の相乗効果で「事業の儲けでのお金」を飛躍的に増やす。・・等々が考えられますが、その前に日本製鉄の財務内容を分析してみます。分析は各期末に保有するキャッシュを、その獲得した4つの手段である「事業の儲けで獲得したお金」「運転資金で獲得したお金」「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフで見る方法です。。

茶色のグラフ「設備・投資等で獲得したお金」の減少の意味について

水色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」は順調に伸びています。したがって、USスチールの買収によってさらなる増加が考えられます。しかし、茶色のグラフ「設備・投資等で獲得したお金」が減少しているということは、この減少した「設備・投資等で獲得したお金」が社外に出ていっていることを意味しており、せっかく「事業の儲けで獲得したお金」が増えてもその「事業の儲けで獲得したお金」の増加を食いつぶしてしまい、期末に保有する現金・預金(キャッシュ)は先細りしてしまいます。

例えば、投資(買収)のために100を支出したとします。そしてその投資資金を「事業の儲けで獲得しているお金」100で支出したら、手持ちの現金・預金は100減少してしまいます。しかし、借金を100してその借金を買収資金100に充てたら、手持ちの現金・預金は減少しないで残ったままです。サラリーマンの例でいえば、100の買い物をするのに、給料日に貰った給料で100支出したのか、借入金100で支出したのかの違いと同じことで、グラフにしてみると下図のとおりになります。

日本製鉄(株)の茶色のグラフ「設備・投資等で獲得したお金」の減少原因

日本製鉄は膨大な資産を保有してますが、その資産のうちで投資に関する科目をみると、今年3月の決算期では、前期に比較して関係会社の株式の取得、関係会社への長期的な貸付金の増加が目立ちます。この2の科目で約4,400億円の支出増となっています。

この約4,400億円は、どのような資金でまかなってきたのでしょうか。まず考えられることは長期の借入金であり社債の発行と考えられます。しかし長期借入金、社債とも増加するどころか、むしろ減少しています。

以上を一覧にしたのがグラフの下の表ですが、「設備・投資等でのお金」の今年3月決算ではマイナスとなっています。したがって、来年の2025年の予測においても、今年の実績と同様に推移すると考える限りマイナスが増加します。今後日本製鉄(株)がUSスチールの買収に関して、どのような財務戦略を実行していくのか、はなはだ興味のあるところです。

理想は「事業の儲けで獲得したお金」で設備や投資をまかなうこと

サラリーマンの場合で言えば、自宅の建築資金は過去からの給与の蓄積でまかなうのが最も理想的です。次に理想的なのが、自宅の建築資金の50%以上を自己資金で、残りを長期の借入金で賄うことができれば、これもまたバランスがとれており理想的です。その他多くの選択肢があると思いますが、どのような選択肢をとっているかで、そのサラリーマンの方の財務状態が分かります。

その意味で給与➡「事業の儲けで獲得したお金」、自宅の建築資金➡「設備・投資等で獲得したお金」とみなした場合の動きをみれば、サラリーマンの方の財務状態が分かるように、企業の財務状態が分かり株価の判断に極めて有効な情報となります。なぜなら、株価は様々の要因で動いていくとしても、企業の細かな情報を入手することのできない、またその暇もない私ら株の素人にとってはなおさらのことです。

今年3月決算以降の株価は、上がっている、下がっている?

上記の図表のとおり2024年3月決算時点の「事業の儲けで獲得したお金」は1,546で、株価は3,277(これは3月まで1年間の最高株価と最低株価ほ単純化に平均したものです。)で、株価÷「事業の儲けで獲得したお金」は約2.12倍になっています。青色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」は来期の2025年の予測も上昇していますから、株価は上がると予測してもいいと思います。ただし、茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」の動きを今後注意していく必要から慎重な判断が必要と思います。

ちなみに、決算以降の各月の終値は下記のとおり下がっています。ただし、問題は1年後の2025年3月決算時点での株価は上がっているか、下がっているかです。つまり、この素人の株判断は1~2年の長期的視野で判断することを目的としているからです。

「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸いです。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)

このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています
今週に追加した企業は、富士電機(株)と、第一三共(株)です。
なお、正解しても賞金や景品はありませんので、どうかご容赦ください。

今週の「九州テクテク歩き」の写真は、筑後の国 福岡県の南部を流れる「矢部川」沿いに歩いた時に咲いていた「彼岸花」です。これからの季節に咲きだす花で、調べたら別名は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」というそうです。

·N¥8

次週は、出光興産(株)について報告します。最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2024年9月9日(月曜日)  投稿者  岡 陽三郎

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