ヒ ュ ー マ ン ・ ヘ ル ス ケ ア ( h h c )

製薬会社のエーザイ(株)の創業者は、内藤 豊次( ないとう とよじ、昭和53年没 )氏です。氏は明治22年に6番目の子として福井県に生れ、15歳で大阪のウインケル商会に就職し、夜間は英語、ドイツ語、中国語のほかに簿記も学んだそうです。そして、日本でも新薬を開発しなければ、との思いで昭和11年に合資会社の桜ケ岡研究所を設立し、昭和16年に日本衛材株式会社を設立しました。これが現在のエーザイ株式会社の前身です。
エーザイ(株)は、下図のように株価が今年の3月の決算後に上昇するかと思いきや下落しています。下落の原因は様々な要因があるでしょうが、様々の情報に疎い、まして医薬品業界の詳しい情報も取得できない株の素人としては、財務内容の観点からのみ原因分析をしてみたいと思います。

青色のグラフ「事業で獲得したお金」の下降は株価下落へ
下図のグラフは、エーザイ(株)が毎期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフです。特徴的なのは、青色のグラフ「事業で獲得したお金」が2期続けて下降線を描いていることです。なお、株価は終値でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の最高株価と最低株価の単純な平均値です。

2024年も青色のグラフ「事業で獲得したお金」が下落している理由
下記はエーザイ(株)の有価証券報告書の損益計算書に示されている数字です。これをみると2023年3月決算の業績が悪化していますので、2023年にかけて青色のグラフが下降するのは理解できます。しかし、翌年の2024年3月は業績が回復しています。なぜ2024年も青色のグラフ「事業で獲得したお金」が下落しているかについて説明します。

「事業で獲得したお金」は「過去の儲け」と「当期の儲け」の累計
これから少しややこしい説明となります。興味のない方は飛ばしてください。過去に事業で獲得したお金は損益計算書には表示されません。損益計算書はあくまでもその1年間の業績を表すだけです。過去に事業で獲得したお金は、決算時点での企業の「資産」と「負債」の差額としての「自己資本」を表示している貸借対照表で見れます。
例えば、決算時点で持っている資産を全部処分して、負債のすべてを返済した場合に、手許にお金が残るのか、残らないのかは重要な問題です。この手許に残るお金が幾らぐらいになるかを示しているのが「自己資本」です。この「自己資本」の中には、企業を設立した時に出した資本金(株主の取り分)もありますし、過去に儲かって蓄積したものも含まれています。また、この「自己資本」がマイナスであれば、過去損ばかりしていた。つまり、負債をすべて返済できない、という企業もあります。
また、過去に「事業で獲得したお金」が蓄積されているといっても、過去の儲けのすべてを累計したものではありません。なぜならば、儲かったお金から「配当金」として株主へ支払うからです。極端にいえば「事業で獲得したお金」をすべて「配当金」として社外に出してしまえば、過去の「事業で獲得したお金」はゼロです。このことを下図に作ってみました。

「繰越利益剰余金」(繰り越ししてきた過去の儲け)が減少
下図はエーザイ(株)の「自己資金」の繰り越ししてきた過去の儲けを表す「繰越利益剰余金」の3期対比です。毎期減少していますが、この大きな原因は赤字決算であった2023年3月の「配当金」の支払いが約459億円あったことによります。仮にこの「配当金」の支払いがなかったとしたら、「事業の儲けで獲得したお金」の青色のグラフは上昇する結果となります。したがって、「事業の儲けで獲得したお金」の青色のグラフが上昇するということは、株主のために「配当金」を十分に支払って、なおかつ潤沢な「繰越利益剰余金」を持っている良好な財務内容の企業といえます。

茶色が急増、緑は急減 ➡ シンプルなグラフでない

【A】・・茶色のグラフが急増している原因は、「設備・投資等で獲得したお金」の計算科目である投資等の「関係会社株式」が減少し、「長期借入金」が増加していることが原因です。
【B】・・緑色のグラフ「運転資金で獲得したお金」が減少している原因は、「運転資金で獲得したお金」の計算科目である「未払金」が2022年から2023年にかけて急減していることが原因です。
【C】・・紫色のグラフ「お付き合いで獲得したお金」が減増加している原因は、「お付き合いで獲得したお金」の計算科目である「預り金」が増加していることが原因です。
以上のことから、単純に分かりやすくいえば「儲けのお金」がないので、「長期借入金」などでお金を作ったとなります。
グラフの動きや株価の倍率からの株価判断
上記で説明した科目の増加または減少は、どの企業にとっても財務的に注意すべき科目の動きです。そして、その結果としてグラフの動きがフラットでなくシンプルではありません。また株価が「事業の儲けで獲得したお金」の何倍で動いて来たのかを見ます。すると下図のとおり異常に高く2倍~5倍(業種により10倍未満もあります。)ではありません。したがって、このようなグラフの動きや株価の倍率からは、積極的な購入を推奨するような判断はできません。

「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸いです。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、住友化学(株)と三菱倉庫(株)です。なお、正解しても賞金や景品はありませんので、どうかご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」の写真は、筑後の国(福岡県)のうきは市を歩いた時のものです。川沿いの桜並木が枯れ葉を盛んに落としていました。桜咲く春にはまた来なければ、と思いました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2024年11月11日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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