あしたにいいこと、KOBELCOと

(株)神戸製鋼所の実質創業者は田宮 嘉右衛門(かえもん) 氏で、氏を見出して神戸製鋼所の支配人に引き立てたのが 金子 直吉 (大正時代に80近くの企業を傘下に収めた鈴木商店の実質的な経営者 )でした。この 直吉さんは、6歳のころから紙くず拾いで家計をささえ、質屋の丁稚の時に質草の本を読み漁って知識を身につけたので、自ら「質屋大学」出身と言ったそうです。また、一生涯借家住まいで、一文の私財も残さなかったという有名な方です。このような方から明治38年に31歳で経営を任されたのですから、田宮 嘉右衛門さんも人間としても極めて優秀で「至誠一貫」の方でした。
2021年以降のグラフの動きをみれば、株価の予想は誰にでもできた ?
(株)神戸製鋼所のグラフは、先週の6月3日の「株当てクイズ」で提供しましたが、下図は提供したグラフに2020年を追加した実績4期、予測1期のグラフです。「株当てクイズ」と同じように2021年以降のグラフの動きをみれば、誰でも今年4月の株価の上昇を予測すると思います。現実に大きく上昇(月間相場表で公開の最高と最低の平均値)していました。【なお、実績における株価は、有価証券報告書に記載の各期3月決算前の1年間の最高株価と最低株価の単純な平均値です。】


このように、青色のグラフである「事業の儲けでのお金」の動きに沿うように株価は上昇してましたが、2020年から2021年まで、つまり株価上昇の起点となっている2021年まで株価が減少していたのは何故でしょうか。
2020年3月決算は赤字 ➡ 株価が下がり始める

赤字決算は、4つのグラフで分析してみると、株価判断のチャンス
(株)神戸製鋼所の2020年3月決算の赤字の原因は、朱色の点線の枠で囲った特別損失の「減損損失(投資が失敗したときの損失)」「投資有価証券評価損」計上によるものです。特別損失ですから毎期発生するものでなく、この決算期限りものと判断されます、そして、青色のグラフである「事業の儲けでのお金」は上昇していくのに、株価は下がっている場合は、買い時のチャンスであった(大儲けできた)と思います。
株価判断に重要な「事業の儲けでのお金」について
すこしややこしい話をします。興味のない方は飛ばしてください。それは「事業の儲けでのお金」の意味についてです。簡単に言えば「事業の儲けでのお金」とは「過去からの蓄積された利益」と「当期の利益」の「合計額」です。さて、ご承知のようにまったくのゼロ、つまり、何も資金がないのに事業を起こすことはできません。当然に企業ともなれば、今期の事業を開始するにあたって現金・預金(キャッシュ)や建物・工場などの資産、または、借入金や社債などの負債を持っています。それが下図の右上の矢印の出発点です。

上図の右下の矢印の終点が、1年後の決算時点の「貸借対照表」といわれるものです。見てのとおり損益計算書で計算された「利益A」とまったく同じ数字が、貸借対照表の右の純資産の中に「利益A」としてあります。そして、この「利益A」で獲得した現金・預金(キャッシュ)があるはずですから、左に増加した預金の「儲けA」があります。この左右の対称性が経理・財務の基本てす。つまり、右があれば左は必ずある、左があれば右が必ずあるということです。例えばサラリーマンが給与をもらった時は「給与A」に対して「預金増A」となります。「給与A」があって反対の「預金増ゼロ」などということは絶対にない ( すぐ給与を使い切ってしまえばゼロですが ) ことと同じです。この「過去の利益 300 」と「 利益 A 」が「事業の儲けでのお金」のを構成します。
「左右の対称性」と「四角四面」が経理・財務の基本
人間としてギスギスして丸みのない人を「四角四面な奴だ」といいますが、経理・財務は四角四面です。そこで上の図の左側の四角である損益計算書を、右側の四角である貸借対照表と合体させると、一体の四角四面ができます。

四角四面ですから、左が突き出たり、右が突き出たりはありません。右があれば左があり、左があれば右があるのですから、下図➀のように勝手に売上だけを大きくしたり、図②のように勝手に費用だけを小さくしたりすることは、経理財務の原則から不可能です。。

四角四面にするためには、図➀では、売上を大きくしたら、資産を増やします。(負債を減らしても四角四面になります。②) 図③では、費用を小さくしたら資産を増やします。(負債を減らしても四角四面になります。④)、ただし、このように事実でない架空の売上を増やしたり、費用を少なく見せたりすることを粉飾決算といいますが、必ず決算時点での企業の資産や負債を表示する「貸借対照表」に粉飾決算の痕跡が残ります。現実の粉飾決算はこのように単純ではなく複雑な操作をしてますが、やはり痕跡は残ります。

お金の流れは「逆時計回り」
お金は「お足」といってすぐ消えてしまいますが、お金の流れは「右から左へ」「下へ」そして「左から右へ」での逆時計回りです。具体的に説明しますと、①借金(負債)して、預金(資産)した。②商品(資産)を買って代金(費用)を支払った。③利益をつけて販売(収益)した。 ④売上代金を預金した。

期末にあるお金の分析は、財務内容の血液検査
上図のお金の流れは、まるで体内の血液のようです。したがって、企業が期末に有する現金・預金(キャッシュ)を検査することで、その企業は健康体か、病気体質か、あるいは持病をもっているのかを判断できると思います。そしてお金が「損益計算書」「貸借対照表」を駆け巡っていますからその検査装置、つまり、キャッシュを獲得した4つの手段である「事業の儲けで獲得したお金」「運転資金で獲得したお金」「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」「会付き合いで獲得したお金」を使います。その結果を1株あたりの数字として、株価の動きと共にグラフ化したものが、毎週お示ししているこのブロクです。
さて、もう一度、神戸製鋼所さんのグラフを見てみますと、株価判断で最も重要な「事業の儲けでのお金」である青色のグラフが上昇していて、健康体であることが理解できると思います。したがって2021年の株価が下がっていた時に株を買っていたら大儲けできたと思います。なお、その他の3つのグラフについては、説明を省略していますのでご了解ください。

「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸いです。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、「京セラ株式会社」と「株式会社ファーストリテイリング」(ユニクロ)です。
なお、全問正解されても、賞金や景品はありませんので、どうかご容赦ください。
「九州テクテク歩き」は肥前の国 佐賀県 九千部 ( くせんぶ )山の麓の道に咲いていました。路傍には白色だけでなく朱色のツツジもありました。

来週は、京セラ株式会社です。(先行して今週の「株当てクイズ」にグラフを提供しています。株価の判断は容易ではないと思います。)
最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2024年6月10日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎 ]
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