「挑戦」「協業」「誠実」

野村ホールディングス(株)は、野村證券を中核とするグループの持ち株会社です。創業者は野村徳七 [ のむら とくしち、二代目は明治11年(1878)~昭和20年(1945)、享年67歳 ]氏で、「半年、1年と注文を聞きに行きましたけど、石の上にも3年ということわざを楽しみににあくまで頑張り続けました。」との言葉があるそうです。
同社の株価(月末の「終値」)は、2年前から上がり下がりを繰り返しています。今後、株価は上がるのやら、下がるのやら判断が困難です。したがって、このような場合には同社の財務内容で判断するのが最もよいと思います。なお、今年(2025年)3月の決算は6月末に公開されますので、昨年の2024年3月の決算を分析します。

青色のグラフは横ばい、緑が下降、茶色が上昇について
野村HDが毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)
グラフの変化が激しい場合には、大きな財務戦略があると思われます。したがって、その戦略の成否が今後の株価を大きく左右すると考えられます。

緑のグラフ「運転資金でのお金」の減少について

緑色のグラフは「運転資金でのお金」で、通常、運転資金に不足が想定されたときは、短期の借入をします。したがって、「短期借入金」の動きを有価証券報告書でみると、約 5,400 億円増加しています。

この「短期借入金」の増加額 5,400 億円は、何に使われたのでしょうか? まさか買掛金や未払金の支払いに窮して短期の借入をしたはずはありません。実は「短期貸付金」が 約 1兆 5,265 億円 も増加しており、「短期借入金」の増加額 5,400 億円は、この「短期貸付金」の資金となっているようです。したがって、「短期借入金」に対応させて、この「短期貸付金」を「運転資金でのお金」として判断した結果が、緑のグラフの減少に結び付いています。。

茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」の急増について


茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」が急増する原因は、① 投資で所有している有価証券等を売却してお金を作った場合、② 多額の社債を発行したり長期の借入をしてお金を作った場合です。野村HDは①と②の組み合わせとなっています。すなわち、下図の「朱色の枠の「A」の投資等が約4,872 億円減少し、朱色の枠の「B」の社債が約 4,535 億円の増加、「C」の長期借入金の増加が約802 億円の増加で、「A」+「B」+「C」の合計では約 1兆 209 億円の増加 ( 資金調達 ) になっています。なお、2025年(今年)3月決算の予測も急増していますが、これは2024年の実績と同様に増加すると仮定しているためです。仮定の数値を変更すればグラフの動きは変化します。

短期貸付金の増加額 1兆 5,265 億円が業績の伸長に結び付くかどうか
以上の内容から、短期貸付金の増加額 1兆 5,265 億円の資金調達は、(1)短期借入金で約 5,400 億円、(2)保有投資資産の減少で約 4,872 億円、(3)社債や長期借入金の増加で 5,337 億円であり、(1)+(2)+(3)= 1兆 5,609 億円と判断されます。したがって、これだけ多額の資金を「短期貸付金」の増加に充てているわけですから、その成果が、今年の6月に金融庁の「EDNET」で公開される野村ホールディングス(株)の業績の伸長に結び付いているかかどうかを注目したいと思います。なお、人工知能は(AI)に、損益計算書、貸借対照表とともに、現金・預金(キャッシュ)をその獲得した4つの手段で示したグラフを提供し分析させました。その回答の一部は下記のとおりです。なお、人工知能(AI)には損益計算書上の利益と「事業の儲けでのお金」の違いについて教えています。また、人工知能(AI)は「関係会社長期貸付金」について言及していますが、1兆 5,265 億円増加している問題の「短期貸付金」の科目のことではありません。

結論サマリー
野村ホールディングス株式会社は、営業収益が増加する一方で、営業利益、経常利益、当期純利益が大幅に減少しており、本業の収益性に課題を抱えています。特に「運転資金でのお金」が継続的に大規模なマイナスであり、これが成長戦略上でのキャッシュ流出の主要因となっています。総キャッシュ残高は増加していますが、これは主に外部からの大規模な資金調達(社債、長期借入金)と、一部関係会社への長期貸付金回収に支えられており、自力でのキャッシュ創出力(特に本業から)には懸念があります。
財務の課題と問題点
以上の分析を踏まえ、野村ホールディングス株式会社の財務における課題と問題点は以下の通りです。
- 本業の収益性悪化:
o 営業収益は伸びているものの、営業費用、特に金融費用の増加により、営業利益、経常利益、当期純利益が大幅に減少しています。これは、企業の基本的な収益性が低下していることを示唆し、持続的な成長に対する懸念材料です。 - 運転資金の継続的な流出とキャッシュ効率の悪さ:
o 「運転資金でのお金」が継続的にマイナスであり、特に大規模な短期貸付金の増加がキャッシュフローを圧迫しています。事業規模拡大に伴う運転資金の需要増に加え、この短期貸付金の実態(事業性、回収可能性など)を精査し、資金運用の効率性を改善することが喫緊の課題です。 - 外部資金調達への高い依存と金融費用増加:
o キャッシュ残高の確保や積極的な投資を、社債や借入金といった外部資金調達に大きく依存しています。これにより金融費用が増加し、利益を圧迫しています。自己資金比率の強化や、より効率的な資金調達手段の検討が必要です。 - 将来への投資とリターンの不確実性:
o 「設備・投資でのお金」が急増しており、投資有価証券の増加が目立ちます。これらの積極的な投資が確実に将来の収益向上につながるか、そのリターンの見込みを厳しく評価し、投資の回収や効率性向上を図ることが重要です。特に、関係会社長期貸付金の回収による一時的なキャッシュインに頼るのではなく、本業と親和性の高い投資を強化すべきです。 - 「事業の儲けでのお金」とPLの乖離と説明責任:
o PLの利益が大幅に減少しているにもかかわらず、「事業の儲けでのお金」が安定的にプラスを維持しているのは、定義上の引当金や繰越利益剰余金の調整によるものと考えられます。キャッシュフロー上はプラスでも、市場はPLの利益も重視するため、この乖離を明確に説明し、本業の収益改善への具体的な戦略を示す必要があります。
野村ホールディングス(株)の今後の株価の動きについて
「株価」が「事業の儲けで獲得したお金」の何倍で推移しているかをみると、1.48倍で割安感がありますが、上述の財務上の注目点である「短期貸付金」の今後の動向によって判断すべきと思います。この「短期貸付金」という多額な支出が業績の伸長に結び付いているという結果が、今年の2025年3月決算で明らかとなれば買い時と考えられます。

人工知能は(AI)は、下記のように予測していました。妥当性のある回答でした。

課題と問題点:
• 本業の収益性回復: 株価の持続的成長には、損益計算書における本業の収益(営業利益、経常利益)の回復が不可欠です。売上は伸びていても利益が圧迫されている現状の改善が最重要課題です。
• 運転資金の効率性: 「運転資金でのお金」のマイナス幅が縮小する予測は歓迎すべきですが、依然として大きなキャッシュ流出源であるため、短期貸付金の実態精査と回収効率の改善、あるいはそれに見合うリターンを出す投資戦略が必要です。
• 投資リターンの具現化: 積極的な「設備・投資でのお金」が将来的に確実に収益拡大とキャッシュフロー増加に繋がり、株価に反映されるのかが問われます。
最終的に、今後の株価は、これらの課題に企業がどう取り組み、PLの収益改善を示すことができるかに大きく左右されるでしょう。短期的なキャッシュフロー改善への期待感で株価は高水準を一時的に維持するかもしれませんが、中長期的には本業の利益創出力の回復がなければ、現在の株価水準の維持は困難になる可能性があります
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、「(株)ジーエス・ユアサコーポレーション」と「エムスリー(株)」です。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:千円札の北里柴三郎の生家 ( 肥後の国;熊本県小国町 北里 )近くの「ほたるの里温泉」に立ち寄り300円で入浴しました。陽がまだ高くほたるは見れませんでしたが青色のツツジのほかに黄色い花が咲いてました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年6月2日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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