米国鉄鋼メーカー「USスチール」の買収
報道によると、トランプ大統領は13日(金曜日)に、アメリカ政府と「国家安全保障協定」を買収完了までに締結することを条件に認める大統領令に署名したとのことです。日本製鉄(株)の財務内容の分析は、昨年の2024年9月9日にこのサイトに投稿しましたが、それとまったく同じものを再び投稿します。
ただし、今般は人工知能(AI)に「損益計算書」「貸借対照表」「決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)をその獲得した4つの手段で区分した数値表とグラフ」、および「その4つの手段の内訳表」を提供して分析するよう指示しました。この投稿の末尾に全文掲載しています。なお、人工知能(AI)は、人間( 私 )のネガティブな判断に対して、ポジィティブのようです。
また、同社の2023年3月決算から6ケ月ごとの株価の「終値」の動きは下図のとおりです。( 昨年の2024年9月9日の投稿は、株価が下降し始めた2024年3月から2024年8月までの動きをでした。)

▼ ▼ 以下は、昨年2024年9月9日に投稿したものとまったく同じものです。▼ ▼

新聞報道などによると、日本製鉄(株)は、アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収することで同社と合意したとのことです。買収額はおよそ2兆円にのぼる見通しとのことですから、日本製鉄(株)の財務内容が気になります。
日本製鉄は、戦後アメリカ占領軍政策の財閥解体で「八幡製鉄」と「富士製鉄」に分割されていましたが、昭和45年(1970年)に会長 : 永野 重雄、社長 : 稲山 嘉寛で再合併し新たにスタートしました。歴史は流れて、今はその日本製鉄のUSスチールの買収がアメリカ大統領選挙の論争ともなっています。
会長 であった 永野 重雄氏は、大正14年から富士製鋼の支配人兼工場長として、その生涯を製鉄業に捧げてきたのですが、昭和6年には借金返済の催促を受けて、年末に夜逃げするなど苦難の道もあったようです。社長の稲山 嘉寛氏は、お役人から八幡製鉄に勤務となり「気配りの人」だったようです。「取引先の相手には利益を与えなければならない。損をさせればその損がやがて自分に返ってくる」との言葉もあるようです。いずれも現代の経営者に対する尊い教えです。
買収資金は約2兆円、今年3月末時点の「現金・預金」は約2,100億円
まったく単純な発想ですが、私ら経営能力も判断力もない人間は「買収資金は手持ちの現金でまかなう」と考えますが、日本製鉄の手持ち現金・預金をみると約2,100億円でした。

それでは、日本製鉄が今年3月に保有する手持ちの現金・預金の10倍もの買収資金をどのように調達するのでしょうか? ①長期の借入をする。②社債を発行する。③買収の相乗効果で「事業の儲けでのお金」を飛躍的に増やす。・・等々が考えられますが、その前に日本製鉄の財務内容を分析してみます。分析は各期末に保有するキャッシュを、その獲得した4つの手段である「事業の儲けで獲得したお金」「運転資金で獲得したお金」「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフで見る方法です。。

茶色のグラフ「設備・投資等で獲得したお金」の減少の意味について
水色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」は順調に伸びています。したがって、USスチールの買収によってさらなる増加が考えられます。しかし、茶色のグラフ「設備・投資等で獲得したお金」が減少しているということは、この減少した「設備・投資等で獲得したお金」が社外に出ていっていることを意味しており、せっかく「事業の儲けで獲得したお金」が増えてもその「事業の儲けで獲得したお金」の増加を食いつぶしてしまい、期末に保有する現金・預金(キャッシュ)は先細りしてしまいます。
例えば、投資(買収)のために100を支出したとします。そしてその投資資金を「事業の儲けで獲得しているお金」100で支出したら、手持ちの現金・預金は100減少してしまいます。しかし、借金を100してその借金を買収資金100に充てたら、手持ちの現金・預金は減少しないで残ったままです。サラリーマンの例でいえば、100の買い物をするのに、給料日に貰った給料で100支出したのか、借入金100で支出したのかの違いと同じことで、グラフにしてみると下図のとおりになります。


日本製鉄(株)の茶色のグラフ「設備・投資等で獲得したお金」の減少原因
日本製鉄は膨大な資産を保有してますが、その資産のうちで投資に関する科目をみると、今年3月の決算期では、前期に比較して関係会社の株式の取得、関係会社への長期的な貸付金の増加が目立ちます。この2の科目で約4,400億円の支出増となっています。

この約4,400億円は、どのような資金でまかなってきたのでしょうか。まず考えられることは長期の借入金であり社債の発行と考えられます。しかし長期借入金、社債とも増加するどころか、むしろ減少しています。

以上を一覧にしたのがグラフの下の表ですが、「設備・投資等でのお金」の今年3月決算ではマイナスとなっています。したがって、来年の2025年の予測においても、今年の実績と同様に推移すると考える限りマイナスが増加します。今後日本製鉄(株)がUSスチールの買収に関して、どのような財務戦略を実行していくのか、はなはだ興味のあるところです。

理想は「事業の儲けで獲得したお金」で設備や投資をまかなうこと
サラリーマンの場合で言えば、自宅の建築資金は過去からの給与の蓄積でまかなうのが最も理想的です。次に理想的なのが、自宅の建築資金の50%以上を自己資金で、残りを長期の借入金で賄うことができれば、これもまたバランスがとれており理想的です。その他多くの選択肢があると思いますが、どのような選択肢をとっているかで、そのサラリーマンの方の財務状態が分かります。
その意味で給与➡「事業の儲けで獲得したお金」、自宅の建築資金➡「設備・投資等で獲得したお金」とみなした場合の動きをみれば、サラリーマンの方の財務状態が分かるように、企業の財務状態が分かり株価の判断に極めて有効な情報となります。なぜなら、株価は様々の要因で動いていくとしても、企業の細かな情報を入手することのできない、またその暇もない私ら株の素人にとってはなおさらのことです。
今年3月決算以降の株価は、上がっている、下がっている?
上記の図表のとおり2024年3月決算時点の「事業の儲けで獲得したお金」は1,546で、株価は3,277(これは3月まで1年間の最高株価と最低株価ほ単純化に平均したものです。)で、株価÷「事業の儲けで獲得したお金」は約2.12倍になっています。青色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」は来期の2025年の予測も上昇していますから、株価は上がると予測してもいいと思います。ただし、茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」の動きを今後注意していく必要から慎重な判断が必要と思います。
ちなみに、決算以降の各月の終値は下記のとおり下がっています。ただし、問題は1年後の2025年3月決算時点での株価は上がっているか、下がっているかです。つまり、この素人の株判断は1~2年の長期的視野で判断することを目的としているからです。

▼ ▼ 以下の枠内が、人工知能(AI)が回答してきた全文です。 ▼ ▼
なお、枠内にある図表は人工知能(AI)に投稿者が提供したものです。

ご提示いただいた財務データと独自の分析グラフに基づき、日本製鉄株式会社の財務内容の分析と今後の株価予測をいたします。
総括:大規模投資で将来の成長を目指す「投資フェーズ」
現状の日本製鉄は、「①事業の儲け」で安定的にキャッシュを生み出す力(稼ぐ力)が非常に強い一方で、そのキャッシュを大きく上回る規模の資金を**「③設備・投資」に振り向けている**、典型的な「成長投資フェーズ」にあると分析できます。
株価は、この積極的な将来への投資が市場から評価され、本業の好調さを背景に上昇基調にあります。今後の株価の鍵は、この大規模投資が将来どれだけの収益を生み出すか、その期待感と進捗にかかっていると言えるでしょう。
以下、4つの区分に沿って詳細を分析します。
財務内容の詳細分析


①「事業の儲けで獲得したお金」(青いグラフ:■)の分析
- 傾向: 2022年から一貫して増加しており(934円→1,395円→1,546円)、2025年も増加が予測されています。これは非常にポジティブな兆候です。
- 内容の分析:
- 内訳表を見ると、2024年3月期は当期純利益が前期比で減少(5,036億円→3,242億円)したにもかかわらず、「事業の儲けで獲得したお金」は増加しています(1兆3,261億円→1兆4,699億円)。
- これは、利益処分(配当など)を差し引いてもなお、**「C 前期からの繰越利益剰余金」が順調に積み上がっている(9,063億円→1兆2,441億円)**ことが最大の要因です。
- 結論:
- 単年度の利益の変動はありつつも、過去からの利益の蓄積が分厚く、会社の基礎体力が年々強化されていることを示しています。キャッシュを生み出す本業の力は極めて強く、安定的であると評価できます。

②「運転資金で獲得したお金」(緑のグラフ:◆)の分析
- 傾向: 常にマイナス圏で推移しており、これは事業活動(製造・販売)に多くの資金が拘束されていることを意味します。2024年はマイナス幅が縮小(-684円→-456円)しており、改善が見られます。
- 内容の分析:
- 内訳の「(買掛金などの営業負債)-(売掛金などの営業資産)」が常に大きなマイナス(-7,923億円→-6,760億円)であることから、売上債権や棚卸資産が支払債務を大きく上回る、製造業特有の構造が見られます。
- 一方で、2024年は短期借入金を1,002億円増加させており、これが運転資金のマイナス幅縮小(キャッシュアウトの抑制)に貢献しています。
- 結論:
- 事業規模が大きいため、運転資金は常にマイナスとなりますが、2024年はその管理が一定程度改善されたか、短期借入でうまく資金繰りを行ったと考えられます。財務運営上、コントロールされている状態です。

③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」(赤いグラフ:▲)の分析
- 傾向: 最も注目すべき点です。マイナス(資金流出)が続いており、特に2024年はマイナス幅が急拡大しています(-591円→-1,251円)。予測ではさらに拡大する見込みです。
- 内容の分析:
- 内訳を見ると、その原因は明らかです。「③建物・工場・土地などの資産と投資等の有高」が、2024年だけで6,257億円も増加しています。これは極めて大規模な設備投資や M&A を含む投資活動が行われたことを示します。
- 損益計算書の特別損失に「設備休止関連損失」が825億円計上されていることも、古い設備を廃棄し、新しい設備へ更新する「新陳代謝」を積極的に進めている証左です。
- 結論:
- 稼いだキャッシュをはるかに超える金額を、将来の成長のために再投資しています。これは、脱炭素社会に向けた設備更新や、高付加価値製品の生産能力増強、米USスチール買収計画に代表されるグローバル戦略など、会社の将来を左右する重要な戦略的投資と推測されます。ここでの資金流出は、将来の収益獲得のための「種まき」であり、現時点ではポジティブな戦略的行動と評価できます。

④「お付き合いで獲得したお金」(紫のグラフ:×)の分析
- 傾向: 常にプラス圏で安定的に推移しており(461円→541円)、大きな変動はありません。
- 内容の分析:
- 内訳を見ると、「②預り金や仮受金などで期末に残っている資金」が大部分を占めています。これは、従業員の給与からの天引き分や取引先からの一時的な預かり金などであり、事業活動に伴い安定的に発生する資金です。
- 結論:
- 財務戦略上の主要な変動要因ではなく、安定した事業運営が行われていることを示唆しています。

今後の株価予測
ご提示の「株価 ÷ 事業の儲けでのお金」という指標(事業の儲けに対して株価が何倍まで買われているかを示す独自のPBRのような指標)を用いて予測します。
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
| 株価/事業の儲けでのお金 | 2.18 | 1.84 | 2.12 |
| 3年間平均 | \multicolumn{3}{c | }{約2.05倍} |
過去3年間の実績を見ると、この倍率は約1.8倍〜2.2倍のレンジで推移しており、平均すると約2.05倍です。
2025年の1株あたり「事業の儲けでのお金」の予測値は 1,825円 です。
この予測値を基に、これまでの評価水準が続くと仮定して株価を計算します。
予測株価 = 1,825円 × 2.05倍(過去3年平均の倍率) = 3,741円
【結論としての株価予測】
現在の事業の好調さと市場の評価が続けば、2025年の平均株価は3,700円〜3,900円程度になるポテンシャルがあると予測します。
【株価の変動要因】
- ポジティブ要因(株価上昇)
- 大規模投資(特にUSスチール買収など)が順調に進み、将来の収益貢献への期待がさらに高まる場合。
- 鉄鋼市況が想定以上に好転し、「事業の儲け」が予測を上回る場合。
- 脱炭素関連技術で他社をリードするような発表があった場合。
- ネガティブ要因(株価下落)
- 大規模投資に遅れや問題が生じ、将来への期待が後退する場合。
- 世界的な景気後退により鉄鋼需要が落ち込み、本業の儲けが圧迫される場合。
- 金利の上昇により、巨額の投資に伴う有利子負債の負担が重くなる場合。
注意:
本分析および株価予測は、ご提示いただいたデータと独自の分析手法に基づいており、将来の結果を保証するものではありません。実際の投資判断は、ご自身の責任において慎重に行ってください。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸いです。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、MS&ADインシュアランスホールディングス(株)と、JFEホールディングス(株) [ 傘下に日本鋼管と川崎製鉄 ] です。(明日の月曜日16日に公開いたします。)
なお、正解しても賞金や景品はありませんので、どうかご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:肥後の国(熊本県)の荒尾市にある宮崎滔天の生家 ( 熊本県指定史跡、写真右はスモモの木? で沢山の実が落ちてました )、入口には「滔天は理想国家を中国に建設するため孫文を助け・・・孫文は大正二年に中国建国を終えて感謝のため宮崎家を訪れた」との案内版があります。なお、滔天の妻は夏目漱石「草枕」のヒロインの妹で、極貧の中でも孫文をはじめとする多くの清朝からの亡命者の世話をし続けました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年6月15日(日曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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