今週の株

👌今週の株👍:三菱ケミカルグループ(株)

  KAITEKIの実現をリード      

三菱ケミカルグループ(株)は、平成17年(2005年)、大手化学メーカーの三菱化学(現:三菱ケミカル)と大手医薬品メーカーの三菱ウェルファーマ(現:田辺三菱製薬)との株式移転により、両社の共同持株会社として設立され、2020年の世界の化学業界での業績順位でいえば第8位です。

同社の株価は、1年前(2024年)の3月から低迷していますが、今後上がるか、下がるか迷うところです。したがって、同社の財務内容から判断したいと思います。

一見するとシンプルで非常に見やすいグラフ

三菱ケミカルグループが毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

このグラフは、一見するとシンプルで非常に見やすいグラフで財務内容は良好のようですが、青色の「事業の儲けでのお金」はほぼ横ばいであり、紫色のグラフ「お付き合いでのお金」が上昇し、緑色のグラフ「運転資金でのお金」が下降しています。それぞれのグラフを確認していきたいと思います。

青色のグラフ「事業の儲けでのお金」がほぼ横ばいの原因は?

青色のグラフ「事業の儲けでのお金」を三つで区分した内訳は下図のとおりです。当期純利益(・・A ) で獲得した儲けのお金は約1,376億円ですが、昨年の2024年に比べて約511億円減少しています。

次に、当期純利益をキャッシュの増減で見るために加減算する科目 ( ・・B ) が、約852憶円もの減少となっています。つまり、AとBとで当期は前期に比べ大きく減少(マイナス)となっています。

しかし、昨年の2024年以前に獲得したお金の積み増し ( 前期からの繰越利益剰余金・・C )が配当金の支出を除いても約1,466億円あったために、青色のグラフ「事業の儲けでのお金」は大きな下降線とならず、ほぼ横ばいとなりました。ただし、下図の補完資料(1)にあるように日々の営業活動の積み重ねである「営業利益」が前年に比べて大きく減少しています。今後の「営業利益」がどのようになっていくか注目すべきところです。

紫色のグラフ「お付き合いでのお金」が上昇している原因は?

子会社など関係会社との資金のやり取りを「お付き合いのお金」として紫色のグラフで明らかにしています、したがって、例えば子会社が業績不振の場合には、資金援助をしなければならず「関係会社短期貸付金」が発生し、その時には資金が社外に流出するので「お付き合いのお金」は減少し、紫色のグラフは下降します。それとは逆に、子会社が業績が順調な場合には、その子会社から資金を調達することが可能で「関係会社短期借入金」として資金を調達した時は、資金が社内に入るので「お付き合いのお金」は増加し、紫色のグラフは上昇します。

以上のことを踏まえて下図の「お付き合いのお金」の内訳をみると、③の補完資料のとおり「関係会社短期貸付金」の残高が約1,053億円減少しています。つまり、子会社などから約1,053億円の資金を社内に取り込んでいます。したがって「お付き合いのお金」は増加し、紫色のグラフは上昇しました。なお、関係会社短期借入金の返済もありますが約124憶円で、関係会社短期貸付金」の回収額1,053億円から比べれば少額です。

緑色のグラフ「運転資金でのお金」が下降している原因は?

企業が運転資金を調達するのは、通常は業績不振で「事業の儲けで獲得するお金」がない場合ですが、業績が順調であっても、子会社の業績不振で緊急の資金援助を必要とする場合も、短期の借入をしたり、CP(コマーシャルペーパー:担保なして発行する約束手形)を発行したりします。これらの短期の資金を調達をした場合は「運転資金でのお金」の増加とし、緑色のグラフは上昇します。その調達資金を返済した場合は「運転資金でのお金」の減少として、紫色のグラフは下降します。

「運転資金でのお金」の内訳表をみると、「短期借入金」の返済が約263億円、CPの返済が800億円となっています。このことが緑色のグラフが下降している原因です。

青、紫、緑のグラフの動きから推察する資金の流れについて

以上の青、紫、緑のグラフの動きから、(1)・・「事業の儲けでのお金」が伸び悩んだ ➡ (2)・・業績の良い子会社から資金を回収した ➡ (3)・・以前に子会社のために調達していた短期借入金やCP(コマーシャルペーパー)を返済した、という推察が成り立ちます。

したがって、三菱ケミカルグループの財務は、良好ではあるものの目を見張るような良い内容ではないと判断されます。なお、人工知能( AI )には、2期比較の損益計算書。貸借対照表、及びキャッシュフロー分析グラフとその内訳表を提供し「専門知識のないサラリーマンにも分かるように、できるだけ平易な言葉で説明する」ように指示しましたが、一般的なありきたりの分析で、例えば「営業利益」の減少や「短期借入金」・CPの返済などの細かい変化についての言及がないなど不満の残る回答でした。特に子会社などの関係会社との資金関係の具体的な分析はなく、これら細部にわたる分析については、人工知能( AI )に別途指示する必要があるようです。

三菱ケミカルホールディングス(現:三菱ケミカルグループ)の財務状況と今後の株価について、専門知識のない方にも分かりやすくご説明します。

財務状況の判断
まず、三菱ケミカルグループがどのように資金を調達・運用しているのかを、4つの視点から見ていきましょう。

  1. 事業の儲けで獲得したお金(グラフの青い線)
    これは、会社が本業で稼いだお金のことです。商品やサービスを売って、そこからかかった経費を引いた残りが「儲け」です。この「儲け」が多いほど、会社は元気に事業を回せていると言えます。
    • 2023年:179円
    • 2024年:276円
    • 2025年:281円
    グラフを見ると、この「事業の儲け」は年々増加傾向にあり、特に2024年以降は安定して増えています。これは、会社の業績が順調に推移していることを示唆しています。                                     
  2. 運転資金で獲得したお金(グラフの緑の線)
    これは、会社が日々の事業活動(商品の仕入れや販売、従業員への給料支払いなど)で必要となるお金のやりくりで、どれだけ資金を確保できたかを示すものです。
    • 2023年:109円
    • 2024年:135円
    • 2025年:63円
    この「運転資金で獲得したお金」は、2024年をピークに2025年は大きく減少しています。これは、一時的に仕入れが増えたり、売上が少し落ちたりするなど、日々の事業活動における資金繰りに変化があったことを示している可能性があります。
  3. 設備・投資等の長期資金で獲得したお金(グラフの赤い線)
    これは、工場や機械などの設備投資や、他の会社への出資といった、長期的な目的のために調達した資金のことです。会社が将来のためにどれだけ投資しているか、あるいは借入金などをどのように返済しているか、といったことが表れます。
    • 2023年:-192円
    • 2024年:-243円
    • 2025年:-245円
    この項目はマイナスになっています。これは、設備投資や借入金の返済などで、外部から調達した資金よりも、すでに返済したり投資に使ったりした金額が多いことを意味します。つまり、長期的な事業の拡大や借入金の返済が進んでいると考えられます。
  4. お付き合いで獲得したお金(グラフの紫の線)
    これは、グループ会社との貸し借りや、従業員への貸付金、預り金など、会社との「お付き合い」の中で発生する資金の動きを表します。
    • 2023年:-37円
    • 2024年:-122円
    • 2025年:-53円
    この項目もマイナスになっています。これは、グループ会社への貸付金や、従業員への貸付金などが減少している、あるいは預り金が減っているなど、お付き合いによる資金の流出または返済が進んでいることを示唆します。

総合的な財務判断
• 事業の儲けは順調に増加: 本業でしっかり稼げていることは、会社の体力がある証拠です。
• 運転資金の使い方が変化: 2025年に運転資金で獲得したお金が減っている点は、少し注意が必要ですが、業績自体は悪化していないため、一時的なものかもしれません。
• 長期的な投資・返済も進んでいる: 設備投資や借入金の返済が進んでいることは、将来に向けた基盤固めや財務改善の努力が見られます。
全体としては、事業の儲けが堅調に伸びており、将来に向けた投資や財務改善も進んでいると判断できます。

三菱ケミカルグループの今後の株価の動きについて

「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍で推移しているかをみると、2023年はの4.14倍から、2024年3.17倍、2025年3.01倍と割安傾向にあることから、「事業の儲けでのお金」の構成要素のうち「営業利益」が前期以前並みとなれば株価は上昇基調に転じるものと判断します。

今後の株価予測

グラフの赤い点線が、各決算期末前1年間での株価の単純平均値です。
• 2023年:741円
• 2024年:875円
• 2025年:847円

株価は2024年にピークを迎え、2025年はやや下落していますが、これはあくまで過去の平均値であり、今後の株価を直接的に保証するものではありません。
しかし、先ほど分析した「事業の儲けで獲得したお金」が順調に伸びていることを考慮すると、会社の業績は良好に推移する可能性が高いと言えます。

• 「事業の儲け」と株価の関係: グラフの右側にある「株価 ÷ 事業の儲けで獲得したお金」の数値(PERのようなもの)を見ると、2023年が4.14、2024年が3.17、2025年が3.01となっています。この数値が小さいほど、「事業の儲け」に対して株価が割安であると解釈できます。この数値が年々低下しているということは、事業の儲けの増加に対して株価の上昇が抑えられている、あるいは事業の儲けが株価を上回って伸びていることを示唆しており、株価にとってはポジティブな材料となり得ます。

今後の株価予測としては、堅調な事業の儲けを背景に、株価は緩やかな上昇傾向をたどる可能性が考えられます。 ただし、株価は様々な要因(市場全体の動向、競合他社の状況、新しい技術の開発など)によって変動しますので、あくまで参考としてください。

まとめ
三菱ケミカルグループは、本業でしっかり稼ぎながら、将来に向けた投資や財務改善も進めている、堅実な経営を行っていると言えそうです。事業の儲けが順調に伸びていることは、今後の株価にとっても期待できる材料です。

(免責事項)
この分析は、提供された資料に基づいた一般的な解釈であり、投資を推奨するものではありません。実際の投資判断は、ご自身の責任において、さらに詳細な情報収集や専門家への相談の上で行ってください。


「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)

このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています
今週に追加した企業は、 大阪リチウムテクノロジーズ株式会社です。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。

今週の「九州テクテク歩き」:肥後の国(熊本県)の南小国町にある黒川温泉 ( 通り過ごしただけ ) の街並みです。この道の先はフーテンの寅さんの映画の撮影があった「夫婦滝」( めおとたき:若い人の間では出会いの滝とも呼ばれているそうです ) へと続いていました。

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最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年9月1日(月曜日)  投稿者  岡 陽三郎

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