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楽天グループ(株)は、「インターネットサービス(楽天市場など)」、「フィンテック(楽天カードなど)」及び「モバイル(楽天モバイルなど)」という3つの事業を基軸としています。
同社の株価は、下図のように動いています。今後はたして上がるのか、下がるのか、2024年12月の決算内容を分析して判断したいと思います。

株価が下がるグラフか? 大化けするグラフか?
楽天グループが毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

このグラフの特徴は、一つ目は「事業の儲けでのお金」である青色のグラフが急上昇(急激にプラス増加)していること。二つ目は茶色のグラフ「設備・投資等でのお金」が急下降(急激にマイナスに減少)していること。三つめは緑色のグラフ「運転資金でのお金」と紫色のグラフ「お付き合いのお金」が上昇(増加)していることです。それぞれのグラフについて判断してみます。
「事業の儲けでのお金」の三つの構成要素について
下図は、楽天グループが「事業の儲け」でどれだけお金を稼いでいるか、その内容を三つの要素でみるものです。

「事業の儲けでのお金」は下記のA,B,Cで構成されます。
A ➡ 当期純利益
これは、1年間(決算期)の事業活動で、最終的にどれだけ儲かったか、という数字です。
B ➡ (前受金・引当金など) – (前払費用・繰延資産など)
これは、少し複雑ですが、簡単に言うと「まだ売上に計上がないので利益に計上されてないけど、すでにお金を受け取っているもの(前受金)」や「費用として計上し利益を減少させているけど、まだお金は払っていないもの(引当金)」と「実際にお金は払ったけど、費用としてはまだ計上してないもの(前払費用)」など、Aの「当期純利益」をキャッシュベースで調整する項目です。
C ➡ 前期からの繰越利益剰余金
これは、前の年から繰り越された、まだ使われていない利益のことです。前期以前に儲けたお金が、そのまま残っているイメージです。ただし、通常は前期以前に儲けたお金の一部は、配当金として株主へ還元されますので、この配当金を差し引いた残金のことです。
「事業の儲けでのお金」の増加は、配当金の支払をしていないため!!
「事業の儲けでのお金」である青色のグラフが急上昇(急激にプラスが増加)している理由は、Aの「当期純利益」が急増しているためでもありますが、それ以外で注目すべきことがあります。それは2024年12月決算で利益からの配当がされてないことです。つまり、配当をしないということは、社内にお金が蓄積されたままということですから「事業の儲けでのお金」が減少するはずはありません。下図は有価証券報告書の一部で配当金の支払金額を示す箇所です。

配当金の支払いをしていない理由について
楽天グループが配当金の支出をしていない主な理由について人工知能に回答させます。妥当な判断をしています。

• 積極的な事業投資と拡大:
楽天グループは、eコマース、フィンテック(楽天カード、楽天証券など)、モバイル通信(楽天モバイル)、メディア、AI・データサイエンスなど、多岐にわたる事業を展開しています。これらの事業をさらに成長させ、新たなサービスや技術開発に投資するためには、多額の資金が必要です。配当金の支払いは、その資金の一部を株主に還元することになるため、内部留保を減らし、成長投資の原資が少なくなることを意味します。
• 楽天モバイルへの巨額投資:
特に、楽天モバイル事業は、インフラ整備やサービス拡充のために巨額の投資を継続的に行っています。この事業が早期に収益化し、グループ全体の成長を牽引するためには、さらなる資金投入が不可欠です。
• 持続的な成長のための戦略:
企業が成長段階にある場合、配当金の支払いを抑えてでも、将来の企業価値向上につながる投資に資金を振り向けることは、一般的な戦略として見られます。楽天グループも、長期的な視点で株主価値を最大化するために、この戦略をとっていると考えられます。
• 有利子負債の返済や財務基盤の強化:
投資を続けるためには、資金調達も重要です。有利子負債の返済や財務基盤の強化も、将来の安定的な成長のために優先されることがあります。
要約すると、楽天グループは「利益を内部に留保し、それを成長分野への投資や事業拡大に充てることで、将来的な企業価値の向上を目指す」という戦略をとっているため、配当金の支出をしていないのです。
ただし、これはあくまで現時点での戦略であり、将来的に事業環境や財務状況が変化すれば、配当政策が見直される可能性もゼロではありません。
設備・投資等でのお金」の急減(茶色のグラフのマイナスへ急落)について
下図は、楽天グループが「設備」や「投資」でどれだけお金を使い、そのお金を「社債の発行」や「長期の借入」又は「資本金の増加」でどれだけ調達したかを要約したものです。

①の「 社債・長期借入金などでの調達資金」
これは、楽天グループが「社債(会社が発行する借金のようなもの)」を買ってもらったり、銀行などから長期で資金を借りたりしてお金を集めた分です。具体的には「社債」による資金調達が約3,800億円、長期借入金の返済が約450億円で、その他を含め3,363億円を調達しています。
②の 「資本準備金・別途積立金などでの調達資金」
これは、株を発行してお金を集めた場合、そのうち利益ではない部分(資本金や準備金)のことです。また、自己株式のことなど諸々の増減要因がありますが省略します。具体的には増資(株を新しく発行して資金を集めること)による資金調達が2023年(約1,527億円)、2024年(約58億円)と続いています。
③の「 建物・工場・土地などの資産とその投資等の有高」
これは、楽天グループが持っている、ビル、店舗、データセンター、倉庫などの「モノ」の設備への投資、または国内外の値上がりしそうな株式や社債などの有価証券に投資したお金です。具体的には下記のとおり多額の資金を注入し成長戦略をとっていることが分かります。
「投資有価証券(有価証券も含む)」 2025年増加額 約2,564億円
「関係会社株式」 2025年増加額 約4,393億円
計 約6,957億円
したがって、①+②-③で計算の結果、「設備・投資等でのお金」はマイナスの3,653億円(上記の科目以外も含む)となり、茶色のグラフはマイナスへ向かって急降下となりました。なお、2026年の予測も急降下していますが、それは2025年の動向が2026年も同じように続くと仮定しているためです。仮に2026年の財務戦略が明らかであれば、それに従って予測数値を変更したいところです。
積極的な投資活動 ➡ 業績アップを狙う戦略のグラフ
以上、設備・投資等に多額の資金を投入し、業績アップを狙う戦略を取っている企業のグラフは、茶色のグラフが下降し、青色のグラフが上昇しています。楽天グループの茶色と青色のグラフは下図のとおりですが、同社が典型的な成長戦略を取っていることが分かります。

緑色と紫色のグラフの上昇の内容について
緑色のグラフ「運転資金でのお金」が増加している主な原因は、「コマーシャルペーパー(短期的な資金調達を目的に発行する無担保の約束手形)」が645億円増加したこと、「未払金」が約725億円増加したことです。したがって、普段の事業活動で必要なお金以上の資金を調達したということであり、今後はその返済がありますから業績アップの実現が求められます。

また、紫色のグラフ「お付き合いでのお金」が増加しているのは、「預り金」が約2,159億円増加したためです。この「預り金」の中には関係会社からの債務となる金額も含まれ、2025年12月決算時の残高は5,045億円となってますから、今後のその動きに留意が必要です。

楽天グループ(株)の今後の株価の動きについて
「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍で推移しているかをみると、大きな欠損を計上した2023年の5.85倍に比べ、2024年2.81倍、2025年3.11倍と割安に向かっています。

したがって、同社の「利益を内部に留保し、それを成長分野への投資や事業拡大に充てることで、将来的な企業価値の向上を目指す」という戦略に期待する方にとっては買い時と判断されます。逆に、この積極的な投資活動の大幅な業績アップへの実現性に疑念を持つ方は、今年の2025年12月の決算内容まで「様子を見る」ことになります。
なお、人工知能( AI )は、茶色グラフ「設備・投資等でのお金」のマイナスに向かって下降していることを、積極的な投資活動(長期資金の調達以上の多額の投資活動をしていること)としてとらえず、真逆の設備投資の抑制と判断していました。つまり、「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」のマイナスが、将来の成長への投資不足と捉えられた場合、株価の伸び悩みの要因となる可能性があります、との回答であり、この回答は人工知能( AI )の判断ミスと思われます。

今後の株価予測
株価は、会社の業績だけでなく、市場全体の状況や投資家の期待など、様々な要因で変動します。ここでは、今回分析した財務状況と、グラフの株価の推移から、今後の株価について考察します。
プラス材料:
・事業の儲けの回復: 「事業の儲けで獲得したお金」の増加は、企業の収益力向上として株価のプラス材料となります。
・株価の底打ち感: 2023年に株価が大きく下落した後、2024年の予測株価は横ばい~やや上昇の傾向が見られます。これは、市場が業績回復の兆しを織り込み始めている可能性を示唆しています。
マイナス材料・懸念材料:
• 運転資金のマイナス: 「運転資金で獲得したお金」のマイナスが続くと、事業の継続性や成長への懸念から株価の重しとなる可能性があります。
• グループ会社への資金流出: 「お付き合いで獲得したお金」の大きなマイナスが解消されない場合、グループ全体の財務健全性への懸念が株価に影響を与える可能性があります。
• 設備投資の抑制: 「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」のマイナスが、将来の成長への投資不足と捉えられた場合、株価の伸び悩みの要因となる可能性があります。
株価予測:
提供されたグラフを見ると、2024年の予測株価は、2023年の株価(749円)から上昇し、841円となっています。また、1株あたりの「事業の儲けで獲得したお金」と株価の比率(株価 ÷ 事業の儲けで獲得したお金)を見ると、2022年の5.85から、2023年は2.81、2024年予測は2.11と、低下しています。これは、事業の儲けの増加に対して株価の上昇が追いついていない、あるいは事業の儲けの効率が良くなっていることを示唆しており、PER(株価収益率)のような指標で見ると、割安感が増しているとも解釈できます。
しかし、運転資金のマイナスやグループ会社への資金流出といった課題が解決されない限り、株価が大きく上昇するためには、これらの問題点の改善が不可欠です。
結論として、楽天グループの株価は、事業の回復力から底打ち感が出ていますが、運転資金やグループ内資金繰りの課題を抱えています。これらの課題が解決され、かつ事業の儲けがさらに拡大するような具体的な施策が示されれば、株価は上昇する可能性があります。しかし、現状では、これらの課題が解消されるまでは、株価は緩やかな上昇、あるいは横ばいの展開となる可能性も考えられます。
投資判断は、ご自身の責任において、さらに詳細な情報収集や専門家のアドバイスを参考に、慎重に行ってください。
この説明がお役に立てば幸いです。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、 株式会社ジャパンディスプレイです。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:肥後の国(熊本県)の小国町の「杖立温泉(つえたて おんせん)」は、入浴した後に杖を立てかけていたのを忘れてしまうほど元気になる温泉とのことです。福岡県との県境の峠を越えてこの杖立温泉からバスで帰る予定でしたが、乗り遅れた(足の短い男の悲哀です)ためお願いして何とか一泊できました。旅館の大将がわざわざ釣りに行って夕食に提供してくれました。ありがとうございました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年9月22日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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