今週の株

👌今週の株👍:(株)デンソー

信用を尊び責任を重んず(1956年制定の社是より)

(株)デンソーは、トヨタ自動車から1949年(昭和24年)に日本電装株式会社として分離独立しました。独立時は多額の累積赤字を抱え苦難の時代を経てきましたが、今では自動車部品業界で日本のトップ企業となり、世界第2位となっています。

下図のグラフは、(株)デンソーが毎期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフですが、なぜか茶色のグラフ「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」が急減しています。なぜ急減しているのかの説明とともに、今後の株価の予想もしたいと思います。なお、(株)デンソーは2023年10月1日付けで1株を4株とする「株式分割」をしていますので、分割後の株式数に合わせて分析しています。【株価は終値でなく、有価証券報告書に記載の各決算前の1年間の最高株価と最低株価の単純な平均値です。】

茶色のグラフ急減の原因は、多額の投資が発生したため

茶色のグラフの「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」は、サラリーマンの例でいえば、自宅を購入するのに金融機関から長期ローンを組んだ場合に計算されるお金のようなものです。つまり「長期ローン金額」から「自宅取得資金」を差し引いてその余りがあればプラスですし、自己資金を出して「自宅取得資金」より少ない「長期ローン金額」を組めば、「長期ローン金額」-「自宅取得資金」はマイナスです。

(株)デンソーの場合の「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」を、その科目の主な内容で一覧にすれば下記のとおりです。前期と比較し投資が約1兆1,900億円増加しているのに対し、その増加した投資金額に通常必要な資金である「社債」や「長期借入金」は増加しないで逆に705億円の減少 ( 社債の償還で500億円、長期借入金の返済で205億円 )しています。サラリーマンの例でいえば、賃貸用の投資物件を取得するのに、一切の借入をせずに従来からある長期ローンを返済しているようなものです。ではその投資資金はどこから調達しているのでしょうか?、サラリーマンの例でいえば過去の給与で蓄積した預貯金であるし、(株)デンソーでいえば「事業の儲けで獲得したお金」ということになります。したがって、そのサラリーマンを貧乏人といわないように、(株)デンソーの財務は極めて良好です。

投資戦略には「事業の儲けでのお金」が大きなプラスであることが必要

有価証券報告書にには「事業内容に関するリスク」についての記述があります。(株)デンソーの記述は下記のとおりです。

新規投資については、幅広い視点から十分に議論を重ねた上で実行に移していますが、投資先企業の価値が低下した場合や提携企業との間で戦略性や優先順位について不一致が生じた場合には、投資に見合った効果を享受できず、投資金額の回収が困難となり、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(株)デンソーの記述は正直・的確であり、余裕すら感じさせる文章です。これも青色のグラフである「事業の儲けで獲得したお金」が大きなプラスであり、はるか上位にありさらに順調に伸びていくことが予測されているからと思われ、(株)デンソーの財務は極めて良好です。改めてグラフを見てみます。

デンソーと真逆の「倒産予想の企業」のグラフについて

これから参考のために「倒産も予想される財務内容の悪い企業」が投資活動をした場合のグラフについて説明します。興味のない方は飛ばしてください。グラフの左は(株)デンソーです。右は「倒産も予想される財務内容の悪い企業」です。グラフの動きの違いをA, B, C で対比してみました。

茶色のグラフ「設備・投資活動でのお金」の動きが同じで、同様の投資活動をしていても、他の3種類のグラフの動きで、極めて危険な投資活動なのか、そうでないのか、を判断することができます。

A・・まず最も注目すべきグラフは、青色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」がマイナスで低迷していることです。したがって、この会社は業績の低迷から脱出すべく、思い切って多額の投資を行っています。一か八かの危険な経営戦略のようです。

B・・次に注目すべきグラフは、紫色のグラフ「お付き合いで獲得したお金」がプラスで伸びていることです。この会社は投資のための資金を子会社や関連会社からかき集めています。また極端な場合は「未払法人税・消費税」の滞納や、社員さんからの預り金である「社会保険料」の滞納で投資資金を作っているかもしれません。

C・・緑色のグラフ「運転資金で獲得したお金」がプラスで伸びています。つまり本来は、投資のための資金は長期の借入金で対応すべきです(この長期の借入金などで対応した場合は茶色のグラフは上記グラフのように急減しません。)が、金融機関からの長期融資の協力がないため、1年以内に返済しなければならないような短期資金、場合によっては町金融、買掛金の支払延期などによって投資資金に充てています。

以上、(株)デンソーとはまったく関係のない「倒産も予想される財務内容の悪い企業」の例で4種類のグラフの見方を説明しましたが、参考にしていただけると幸甚です。再度「倒産も予想される財務内容の悪い企業」のグラフを示します。青色のグラフ「事業の儲けで獲得したお金」がマイナスで最下位に位置し、「お付き合いで獲得したお金」「運転資金で獲得したお金」をプラスにして、かろうじて現金・預金(キャッシュ)を確保しているをという極めて悪い財務状態です。

(株)デンソーの株価は、今後上がる? 下がる?

昨年(2023年)10月1日の株式分割で1株が4株となりましたが、その株式分割のあった2023年10月末から10ケ月後の2024年8月末までの株価の動き(終値)は下記のとおりでしたが、株の素人、つまり、その企業の財務内容から決算の1年後、2年後を長期的に判断する立場からは、今年の決算時点での「株価」÷「事業のもうけで獲得したお金」は、2,547÷484=5.26倍で5倍を超えていることから、今後上昇を予想するのは困難かなと思われます。また素人のくせに結果が分かっていて賢(さか)しらに解説するな、とのお叱りを頂くかも知れませんが、株式分割後には一時的には上がるとも考えています。

「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸いです。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)

このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています
今週に追加した企業は、キャノン(株)と、横河電機(株)です。
なお、正解しても賞金や景品はありませんので、どうかご容赦ください。

今週の「九州テクテク歩き」の花は、筑後の国(福岡県)の矢部村の山奥から「地底博物館:鯛生金山」を経て、肥後の国(熊本県)の杖立温泉を目指して歩いた山道に咲いていたコスモスです。その向こうの棚田には彼岸花がたくさん咲いていました。

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最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2024年9月30日(月曜日)  投稿者  岡 陽三郎

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