先端技術を先端で支える

アドバンテストは、半導体がきちんと動作するか、また求められている性能や耐久性を満たしているかを高精度・高効率にテストする分野でのグローバル企業です。
創業者は、武田 郁夫 ( 大正12年 ~ 平成24年 、享年89歳 )氏で、昭和29年にアドバンテストの前身のタケダ理研工業を愛知県豊橋市で設立しました。 創業当初は、電圧電流計や周波数カウンタなどの単機能の電子計測器を開発・製造しましたが、1960年代末には半導体産業の発展を見越して、半導体テストシステムの開発に注力したとのことです。
武田氏が繰り返し語っていたのは、学徒動員先の電気試験所での清宮博氏との出会いです。清宮氏が朝礼で「日本は戦争に負けたが、電子工業で世界に勝とう」と所員に檄を飛ばされ、その熱意に突き動かされたことで半導体の世界に足を踏み入れたとのことのでした。
このアドバンテストの株価の2025年4月からの急上昇は、生成AI向けの半導体需要の急拡大によると分析がされているようですが、財務的にはどうなのかを見てみたいと思います。

青色のグラフ「事業の儲けでのお金」の動きとともに株価も上昇
アドバンテストが毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

このグラフは、一見したとおり青色のグラフが上位に位置し、他の三つのグラフが下位に位置しています。すなわち「事業の儲けでのお金」を潤沢に獲得し、そのお金でもって「運転資金のお金」「設備・投資等でのお金」や「お付き合いでのお金」をまかなっているといえます。
公表された決算内容の「利益」だけでは判断できない株価について
下図の有価証券報告書の損益計算書に示されるように、2024年3月決算では利益が前年より減少しました。そのため2024年の株価は下がったと思われます。

ここで「利益」だけでない「事業の儲けでのお金」(下図)についてみれば、「利益」(当期純利益)の減少ほど青色のグラフである「事業の儲けでのお金」は減少していません。

2024年3月決算では、前年に比べてAの当期純利益が減少していますが、約494億円の利益です。「利益」は確実に確保しています。利益減少の理由は、半導体産業自体の変動によるものと思われますが、過去の「事業の儲けでのお金」である Bの「繰越利益剰余金」は順調に増加しています。したがって、このブログでは、公表された「利益」の動きのみで株価の判断をするのでなく、独自のキャッシュフロー分析、つまり、公表された「利益」の裏側に潜む「事業の儲けで獲得したお金」で分析しているのです。
「事業の儲けでのお金」は、下記のA、B、Cの合計金額を、その期の発行株式数で割って、一株当たりの金額として表示したものです。
A・・損益計算書の当期純利益 ➡ 決算日まで1年間の事業活動で稼いだお金です。
B・・( 貸借対照表の前受収益、貸倒引当金、賞与引当金、退職給与引当金、その他の引当金、繰延税金負債 )-( 貸借対照表の前払費用、長期前払費用、繰延資産、破産債権等、繰延税金資産 ) ➡ 上記のAの利益には「費用計上しているが、実際にはお金(キャッシュ)は支出していないもの」とか「まだ費用計上していないが、実際にはお金(キャッシュ)を支出しているもの」とかは考慮されていません。それらを考慮したのがこの項目です。
C・・貸借対照表の純資産の部の繰越利益剰余金 ➡ 過去の「事業の儲けでのお金」のうち、配当金として支出された残りの金額です。
紫色のグラフ「お付き合いでのお金」のアップについて
サラリーマンの方々も多くのお付き合いを必要としています。企業も同様です。例えば日本国内で事業を展開している以上、国や地方公共団体に「場所代」つまり「地代」といえる税金を支払わなければなりません。そして多くの子会社や関連会社に資金援助したりするお付き合いもあります。それらを要約したのが下図の内訳表です。

2025年の有価証券報告書をみると「未払法人税等」が約614億円で前年に比べて612憶円 ( 上図の① ) も増加しました。また「預り金」は約1,134億円で前年に比べて約341億円 ( 上図の②の金額の一部 )が 増加しました。この預り金については、有価証券報告書の注記事項で下記の表示がされていますが、この関連会社とのお付き合いは、サラリーマンでいえば悪友とのお付き合いが深ければ注意すべきように、企業の財務についても注意すべきことですから、何か大きな問題があればこのブログで指摘しています。もちろんアドバンテストについては問題ありません。

アドバンテスト(株)の今後の株価の動きについて
アトバンテストの株価は2025年3月の決算後の4月から急上昇しています。ただし、先月の9月まで半年間の動向ですから、「素人の株判断」では、日々の株価の上下に一喜一憂しないで長いスパン、つまり1年後や2年後の期間で判断します。ただし、財務内容からの判断であり、株式市場の動向や半導体業界を取り巻く環境の変化などは考慮外としています。
では、来年の2026年3月決算が公開される2026年6月以降の株価はどうなっているでしょうか? やはり下図のグラフの動きで判断したいと思います。

青色のグラフが予測の2026年3月に向かって急上昇していますから、今後も株価は上がると判断します。さらに、「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍で推移しているかをみると、割高気味と思われますが2025年は12.06倍で2023年の18.62倍より低い状況です。したがって、「来年に向けて株価は上昇する」と判断します。(株価はその年の最高株価と最低株価の単純平均値です。)

なお、人工知能(AI)の分析については、様々な上場企業を分析させましたが、まだまだだなぁ、つまり、財務の専門知識をもった優秀な新入社員の「ありきたり」の回答に過ぎず、深堀できてないなあ、との思いが否めません。したがって、人工知能(AI)に分析させるための質問の仕方や資料提供について検討していますので、この今週のブログからはしばらくの間は割愛させていただきます。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、 株式会社吉野家ホールディングスです。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:豊後の国(大分県)の豊後大野市の三国峠 ( 佐伯藩、臼杵藩、岡藩の三国の藩境の峠 ) へ奥畑川(おくはたがわ)沿いに行く途中に咲いていました。キツネとタヌキとイノシシもシカも盆踊り ( クマは現在九州にはいないそうです。ずう~と以前に九州に生息していた最後のクマがこのあたりで捕られたと聞きました)するような山奥でしたから、とうとう三国峠に行き着く前に引き返すことにしました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年10月13日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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