みんな なかよく

サンリオは、キャラクターグッズやプレゼント用品の企画・販売、およびテーマパークの運営などを事業とし、「ハローキティ」でお馴染みです。山梨県庁の職員だった辻信太郎氏が、昭和35年(1960年)、株式会社山梨シルクセンターとして東京都千代田区で会社設立したのですが、早々に失敗して小物雑貨の販売に転じ、最初の成功は花柄を付けたゴム草履だったということです。
株価は下図のとおり2025年3月決算前一年間の平均値4,808円に対し、7ケ月後の10月の平均値は7,448円で約160%の伸びを示していますが、なぜ株価がこのように伸びているのかを、2025年3月の決算内容からみてみたいと思います。

業績・財務内容が良くなると必ず株価は上がるか?
サンリオが毎決算期末に保有する現金・預金(キャッシュ)を、その獲得した4つの手段である①「事業の儲けで獲得したお金」、②「運転資金で獲得したお金」、③「設備・投資等の長期資金で獲得したお金」、④「お付き合いで獲得したお金」で区分したグラフは下図のとおりです。( なお、株価は「終値」でなく、有価証券報告書に記載されている各決算前の1年間の「最高株価と最低株価の単純な平均値」です。)

サンリオは、業績・財務内容が極めて良くなっています。なぜなら青色のグラフである「事業の儲けでのお金」が、このグラフのはるか上位にあり急上昇しています。そして、他の三つのグラフはプラス・マイナスがゼロ付近に位置しています。つまり、「事業の儲けでのお金」が潤沢にあるので、借入金や子会社からの資金調達などをする必要がない状態です。

株価も青色のグラフである「事業の儲けでのお金」の急上昇にともなって上昇しています。ただし、この株価の上昇は、株式分割が2024年3月決算の翌日の4月1日付けであったためかも知れませんが、業績・財務内容の伸長によるところが最大の要因と判断されますので、少し詳しくみてみたいと思います。
前期の2024年の緑色のアップ、茶色のダウンについて
サンリオの2023年➡2024年で緑色の「運転資金でのお金」が急減しています。この原因は下図(緑色の枠)のとおり2024年3月決算で「未収入金」が急増したためです。また、2023年➡2024年で茶色の「設備・投資等でのお金」が急増しています。この原因は下図(茶色の枠)のとおり2024年3月決算で「転換社債型新株予約権付社債」が発行されたためです。

「運転資金でのお金」はその企業の業績や財務内容を知る羅針盤
「未収入金」とはその言葉とおり、まだお金が社内に回収されていないものです。お金が社内に入らないのですから、お金はマイナスへ向けて少なくなっていきます。この「未収入金」が毎期増えていくようだと、いくら利益が増えても不良資産が増えるだけで資金繰りが圧迫されます。また「未収入金」と同じように「売掛金」「在庫」などまだお金として社内に回収されていないもや、「買掛金」などまだお金として社外に支出されていないものの有高を調べることは、その企業の将来の業績や財務内容の方向性を知るうえで重要です。
2024年は「未収入金」が約216億円急増しましたが、2025年は同額が減少し通常の状態に戻っています。下図は「運転資金でのお金」の動きを一覧にした表です。朱色の➡で示したように、「売掛金」の回収期間は、2024年の1.59ケ月が1.45ケ月に改善し、商品などの「在庫」も2024年が0.94ケ月分相当であったのが0.71ケ月分相当と、どんどん出荷されるようになっています。「買掛金」も2024年の0.25ケ月での支払期間が0.22ケ月と短縮しています。つまり、業績が伸びて「事業の儲けでのお金」が潤沢にあることを、この「運転資金でのお金」の動きが示しています。

社債の発行 ➡ 新たな設備投資への期待
社債や長期借入金の使い道は、設備投資のためであるのが普通です。設備投資にも二種類あります。一つは業績が低迷していて事業の構造改善を迫られたためのネガティブな設備投資と、将来への新たな発展に向けての積極的・ポジィティブな設備投資です。
ネガティブな設備投資においては、社外からの資金調達である社債の発行や長期の借入をする以前に、必ず身内からの資金調達である「関係会社長期借入金」を発生させたり、かって子会社などへ資金援助していた「関係会社長期貸付金」の回収を図ります。サンリオの「設備・投資等でのお金」の動きをみると、朱色の➡で示したように子会社などの関係会社との取引の動きがありません。したがって、2024年の「転換社債型新株予約権付社債」の310憶円の発行は、将来への新たな発展に向けての積極的・ポジィティブな設備投資であると知れます。

武田薬品工業株式会社の今後の株価の動きについて
以上、サンリオの業績・財務内容が良好であることを確認し、2025年決算後の株価の上昇も当然のことと考えました。では今後の動向についてはどうでしょうか、そこで「株価」が「事業の儲けでのお金」の何倍で推移しているかをみたとき、すでに16.75倍と異常に高くなっています。したがって、来年(2026年)3月の決算において、設備・投資等がどのような形で展開されるのか、そして、業績が2025年に続いて伸びていくのか(2026年の予測値とおりになるのかどうか)を確認するまで保留すべきと考えます。

人工知能(AI)の分析については、様々な上場企業を対象にしてきましたが、まだまだだなぁ、つまり「財務の専門知識をもった優秀な新入社員の『ありきたり』の回答に過ぎず、深堀できてないなあ」との思いが否めません。したがって、人工知能(AI)に分析させる質問の仕方や資料提供について検討していますので、しばらくの間は割愛しております。
「事業の儲けでのお金」「運転資金でのお金」「設備・投資等でのお金」「お付き合いでのお金」については、下記のユーチューブで簡単な説明動画が見れます。ご参考にしていただければ幸甚です。
上場会社の財務分析手法 キャッシュフローの4つの原因分析とは? (youtube.com)
このブログでは別に「😊 今週の「株価当てクイズ」😢」を作っています。
今週に追加した企業は、 株式会社みずほフィナンシャルグループです。正解しても景品も賞金もありません。ご容赦ください。
今週の「九州テクテク歩き」:肥後の国(熊本県)南小国町の万願寺温泉を流れる小さな川に露天風呂 ( 写真の屋根の下で200円で入浴しました ) がありました。また、川向いにある小さなお土産店の中で地元の3人の昔のお嬢さんたち ( お婆さんたち ) が与太話しをしてまました。「あんたどこから来た?テクテク歩いて来たぁ・・足が強いな・・」と冷やかされました。さらに冷やかされては、かなわないので、お湯をかけるだけの即席「そばがゆ」を買ってすぐに逃げ出しました。

最後まで見ていただきありがとうございました。
[ 投稿日 2025年11月24日(月曜日) 投稿者 岡 陽三郎
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